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建通新聞社(東京)
2020/03/19

【東京】都 民間宅地開発の無電柱化に新たな助成

 東京都都市整備局は、民間事業者の宅地開発に伴い新設される区市町村道の無電柱化を促進するため、新規に「宅地開発無電柱化パイロット事業」を開始する。都市計画法の開発許可が必要な開発のうち区域の面積が500平方b以上3000平方b未満で、戸建て住宅の宅地開発をする場合を対象に、1開発当たり1000万円を限度額として開発事業主(事業者)に費用を助成する。2020年度予算案に事業費1億円を計上しており、10件程度に助成する予定。現在、モデル事業を公募するための要件を詰めており、4月以降、早期に事業者を公募する考え。
 助成対象とする無電柱化の手法は、開発事例が少ない単独地中化方式を想定している。原則として区市町村に所有権を移管する公道が対象になるが、私道についてもニーズをヒアリングした上で公募要件を決める。
 東京都内では年間700件程度の開発許可があり、このうち開発区域が3000平方b未満の案件は、住宅以外の用途も含めると8割以上を占める。民間の宅地開発で無電柱化工事を実施する場合、工事に掛かる費用は原則的に開発事業者が負担することになる。
 大規模な開発では費用面でスケールメリットがあるため、無電柱化に主体的に取り組む開発事業主が比較的多いという。都でも都市開発諸制度の中で、開発行為を実施する民間事業者に、無電柱化について区市町との協議と開発区域内の道路の無電柱化を義務付ける一方、開発区域に面する区域外の道路も無電柱化すれば公共的な貢献として評価し、開発区域の容積率を割り増す措置を講じている。
 一方、小規模な開発では、工事費用がふくらめば宅地を分譲する際の販売価格にも影響が出る恐れがあることなどから、これまで自主的な取り組みが進みづらかった。事業者の負担を軽減しつつ、単独地中化の事例を蓄積していくことで、都内の道路延長の大半を占める区市町村道の無電柱化を促進していく考えだ。今回のモデル事業を通じて、事業者に課題を聞き取り、将来的な政策に反映することも視野に入れる。
 20年度の無電柱化の取り組みとしてはこの他、木造住宅密集地域の防災性向上として、区市町村が整備主体となる防災生活道路の無電柱化に対しても補助を実施。狭隘(きょうあい)な道路の無電柱化を支援する。

提供:建通新聞社