名古屋市上下水道局は、堀川・新堀川の水質改善を目的とする、堀川上中流域と新堀川上流域内の下水道管の整備に向けた、初弾の調査を2020年度に着手する。雨水幹線や貯留管など対策施設の規模や配置の検討を行い、21年度以降の設計などに備える考えだ。20年度当初予算案には委託費4000万円を計上している。都心部の分流化という、三大都市圏では初めての試みに向けた取り組みが本格化することになる。
雨水幹線の対策区間は、堀川は新堀橋(北区)付近〜松重橋(中区)付近、新堀川は堀留水処理センター〜富士見橋(中区)付近を想定。いずれも河川沿いに雨水幹線を配置する。全体延長は約8`で、内訳は堀川が約7`、新堀川が約1`。
貯留管は、堀留水処理センターと露橋水処理センターを東西で結ぶ形で設置する構想。延長は設置場所によって変わるため、決まっていない。
20年度の調査では、水質浄化効果の早期発揮に向けた検討と分流化に向けた検討を1本の業務で一括して検討する見通し。
水質浄化効果の早期発揮では、雨水幹線や貯留管などの対策施設の規模や配置などを検討する他、合流式下水道管の吐口(50カ所弱)の廃止に向けた方法や手順などを考える。また通常、貯留管は雨天時に一時貯留し、晴天時に水処理センターに送って水処理を行っているが、水処理センターの処理能力を最大限発揮できるよう、連続的な送水・処理に向けた検討を行う。各種検討を踏まえて事業計画を策定する。
市で合流式下水道を分流式下水道に改めていくのは初めてとなる。そのため▽地域ごとの汚水・雨水の分離に必要な対策検討▽宅地内排水設備の切り替えに関する告示など行政手続きの検討▽分流化事業概要の検討▽早期に分流化に着手するため、地域を限定するなどといった手法やスケジュールの検討―なども行う。
堀川は、庄内川や名城・露橋水処理センターの処理水、新堀川は堀留水処理センターの処理水を主な水源としている。雨天時において簡易処理高度化施設や雨水滞水池を整備して合流改善を行っているものの、能力を超える降雨時の際には未処理水が河川に流入しているのが現状。そこで、両河川沿いに雨水幹線を整備した上で、下流端に貯留管を配置。雨水幹線と下流端の貯留管整備により、一時貯留できる流量を増やし、未処理水の河川への流入を抑制する。対象区域の分流管(2本目の管渠)面整備と合わせて、区域の完全分流化を目指していくこととなる。
提供:建通新聞社