県内19市の2020年度当初予算案が出そろい、一般会計の工事請負費の総額は657億3122万7000円となった。前年度当初比3・9%(24億9424万7000円)の増でプラス編成は10市。増加率では、指宿市が66・3%(42億1239万5000円)の大幅な上昇を見せ、目玉の市民会館建て替え以外にも、豊富な整備計画が要因と言える。事業別では、南さつま市の金峰地域の学校再編(12億6820万円)をはじめ、霧島市の隼人中学校、曽於市の岩川小学校の整備にも6億円規模で予算化するなど各市で教育施設への投資が目立った。
工事請負費の増加率は、指宿市(66・3%)、西之表市(55%)、阿久根市(31・4%)の順。約32億円の事業費を見込む市民会館建て替えに着手する指宿市だが、敷領団地・開聞庁舎の建設や市営野球場改修などの他事業もめじろ押しだ。西之表市は、種子島中や10小学校の空調整備で大幅に伸びたほか、阿久根市は庁舎改修や跡地の活用法に注目が集まる旧国民宿舎および隣接する老人福祉センターの解体・撤去等が上昇の理由とみられる。
総額では、鹿児島市(270億円)を筆頭に、奄美市(48億円)、指宿市(42億円)と続く。鹿児島市は、新南部清掃工場(ごみ焼却施設・バイオガス施設)整備・運営に事業費を100億円規模で予算化。奄美市では、19年8月と11月の入札がいずれも不調だった「市民交流センター新築本体」を20年度までの債務負担行為で増額(事業費約24億円)し、工事請負費14億3000万円を計上したほか、市民広場・立体駐車場整備(8億9600万円)も予定している。
事業内容に着目すると、南さつま市で2校目となる小中一貫校・金峰学園の校舎建設や霧島市の隼人中校舎大規模改造、曽於市の岩川高校跡地に計画する岩川小の移転改築など学校関係の整備が多い。鹿屋市では、オレンジパーク串良の敷地内に建設する方針の北部学校給食センター整備(5億4614万円)が今秋に発注を控えるほか、鹿屋東中の校舎増築、鹿屋女子高の改修(5億560万円)も進める。
鹿児島市では、校舎を建て替える松原小の既存解体や八幡小の基本・実施設計に着手する見通し。日置市は、現在の日吉中と4小学校を統合して開校した日吉小を対象に、9年間の義務教育課程を一体化する「日吉学園」の整備を継続し、小学校建設に4億2031万円、中学校建設に2億9724万円を充てた。
■一般会計は14市が増額
枕崎市は22%増
19市全体の一般会計の総額は、7770億3868万7000円で前年度当初比3・8%の増。増額した自治体は14市。
2771億円の鹿児島市に次いで、霧島市(608億円)、薩摩川内市(541億円)、鹿屋市(534億円)、奄美市(336億円)となった。増加率では22・8%増の枕崎市(26億円)をはじめ、曽於市(14・8%、34億円)、南さつま市(12・2%、29億円)が上位を占めた。