東京都議会が3月12日に開いた予算特別委員会で、樋口高顕氏(都民ファーストの会)の総括質問に佐藤伸朗都技監らが答え、朝潮運河に新しい防災船着き場を整備するための設計に2020年度に着手することや、首都高速道路の地下化に伴って架け替える常盤橋について、保存する意向で関係者との協議を進める方向性を示した。
中央区晴海では、オリンピック・パラリンピック競技大会後に選手村が民間マンションなどとして供給され、交通需要のさらなる増加が見込まれる。防災船着き場の整備に関して、佐藤都技監は、「晴海5丁目で計画している交通広場(マルチモビリティステーション)の整備に併せ、バリアフリーに配慮した船着き場を朝潮運河に設置する。2020年度に設計に着手し、22年のまちびらきでの開業を目指す」と答えた。
また、平時から、案内やサインによる防災船着き場の周知を図り、夜間に災害が発生した場合に備えた照明施設の設置を加速する必要性については、遠藤雅彦総務局長が「共通のピクトグラムによるサインの設置や、都が管理する主要な防災船着場へ早期に照明を設置する。国や区が管理する施設にも、照明の設置について強く働き掛ける」と述べた。
首都高速道路の地下化に伴う常盤橋の架け替えで、保存の在り方について検討すべきとただされた佐藤都技監は、「千代田区と区議会などからの、保存などを求める要望・意見を受け、事業主体の首都高速道路に趣旨を伝えている。同社が中心となり、日本橋川の安全性を確保しつつ、二連アーチの構造を残す方向で検討しており、20年度以降、関係者と調整を進めると認識している。都としても、地下化工事の具体化に合わせて検討が深まるよう取り組む」とした。
また、JRや私鉄が乗り入れる飯田橋駅周辺について、都市基盤の再整備の必要性について樋口氏が質問。佐藤都技監は、「飯田橋駅周辺は、鉄道5路線が結節し、幹線道路3路線が交差する交通の要所。一方で、鉄道駅や歩道橋などが交さくし、歩行者に分かりづらく、バリアフリー動線にも課題がある。今後見込まれる再開発による利用者増への対応も必要だ」と認識を述べた。そして「昨年11月に千代田区、新宿区、文京区の3区や鉄道会社などで構成する検討会を設置した。まちづくりと連携した都市基盤の整備・更新に向けて課題の整理や改善に向けた方向性の検討を進めている」と取り組みの現在の状況を説明した。
提供:建通新聞社