甲賀市は、保有する公共施設・インフラの適正配置を実践していくための指針となる「公共施設個別施設行動計画」の効果的な実施に向け、必要施設の廃止統合等を行う際の具体的対策について考えを示した。
実施に先駆け、施設の利用状況や運営状況のソフト面、老朽度や安全性などのハード面の両方を評価し存続・廃止・機能移転などのあり方を検討した上で、利用が多いとされる施設や、地域コミュニティの拠点としての役割が求められている施設については最大限、長寿命化を図るとともに、譲渡による地域や民間の施設としての存続も視野に入れて整備のあり方を決定していく。また、災害時の避難施設に指定されている施設については、長寿命化による存続の選択肢のほか、民間施設の活用・周辺地域や近隣市町との連携も含めて決定する。
なお、老朽が進んだ施設については、これまでの合併特例債のような有利な財源確保が困難となる見通しであることから、信楽地域における地域市民センター及び開発センターの建替え、保健センターと子育て支援センターなどの機能移転のように、機能の集約化・複合化を図ることで全体としての面積を縮減しながら、施設の利便性を高め、旧町域単位での広域拠点施設としての機能を充実させていく考えだ。
市は、2028年度(令和10年度)までを第1期整備期間と定め、前述した施設ごとの方向性を示し最適化を図ることで、将来を見据えた地域の施設のあり方を模索していく。28年度以降は社会の変化に対応するために、計画の見直しを行う。
公共施設個別施設行動計画は、公共施設等総合管理計画の実施計画と位置づけされているもので、▽床面積▽耐用年数▽所管課▽方向性▽配置▽配置手法▽工程表―などの各個別施設状況の把握及び施設分類ごとの数値目標・現状と課題・今後の方向性を示すもの。現在は、高齢化社会に寄り添った弱者の視点に立った計画となるよう、公共施設等総合管理計画の各項目を分類し、施設の集約や廃止・転用・長寿命化などを含めた検討を庁内で進めている。
市が保有している建築物を今後も維持するために、建築物の大規模改修や補修・更新を実施すると仮定し、今後40年間に必要な費用総額は1455億2000万円。1年あたりに換算すると約36億4000万円となり、直近3年間の投資的経費は平均12億9300万円であることから、約2・8倍の予算確保が必要となるシミュレーションを市は発表しており、人口減少に伴う市税減少や利用変化等を見据え、健全財政及び適正な施設維持に向けた検討を進めていく。
市が策定した「公共施設等総合管理計画」は、2056年度までの約40年間を計画期間とし、現在保有している市全体の公共建築物総延床面積は、2018年度末で38万2431平方bで、2014年度末の総延床面積37万0411平方bと比較すると、1万2020平方bの増加となっている。これは、市役所庁舎・甲賀大原地位建設市民センターの建替えを行ったことによるもので、同計画に沿って計画的に廃止・転用・長寿命化を図れば総量が減少していくと示している。目標として、40年間で25万9288平方b(30%減)まで縮減することを掲げており、実現に向け修繕・改修計画の無い公共施設においても修繕・改修計画を策定し、工事発注の平準化を図っていく方針。
提供:滋賀産業新聞