新・担い手3法の成立を踏まえ、京都府は、公契約大綱を見直す。11日開催の令和元年度第2回京都府入札制度等検討委員会(委員長・楠茂樹上智大学法科大学院教授)に見直し内容を示し、意見聴取した。
公契約大綱は、公契約の基本理念とともに、発注者として主体的に取り組む具体的な内容を示したもの。
品確法、建設業法、入契法を一体的に改正した新・担い手3法が令和元年6月に成立したことを踏まえ、府は公契約における受発注者関係の更なる適正化等に向けて取組の拡充を行うものについて、大綱に反映させるため、見直しを行う。
大綱に反映させる内容は、@適正な工期設定(○従事者の週休2日、準備・後片付け期間、天候等の実施困難日数等を考慮した工期設定○現場の状況に応じた適切な設計変更他)[現状…▽「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」により工期を設定▽出水期等の制約により一部十分な工期を確保できていないケースも存在]A施工時期の平準化(○繰越明許費・債務負担行為の活用(翌年度に渡る工期の設定)○発注見通しの統合・公表の実施他)[現状…▽繰越手続きの前倒し、債務負担等を活用▽平準化率は改善傾向]B生産性の向上(○調査等、施工、検査、維持管理等における情報通信技術の活用○3次元データの活用による工事関係情報の可視化・集約化、受発注者間での共有化他)[現状…▽ICT活用工事を試行し、これまでに10件実施]C災害等緊急時の適切な入札・契約方法(○手続きの透明性等に留意した随意契約、指名競争入札の活用○予定価格に起因した不調・不落対策として、入札参加者からの積極的な見積りの活用)[現状…▽崩土除去、被災拡大防止工事など緊急性の高い工事は随意契約で対処]。
大綱の修正案によると、府が取り組むべき内容について、「1 健全な競争環境の確保」を「1 健全な競争環境の下での適正な契約の確保」に修正する。
また、◇工事に従事する者の休日や必要な準備期間等を考慮した適正な工期等の設定◇翌年度に渡る工期の設定など必要に応じた取組による施工時期の平準化◇災害等緊急性に応じた適切な入札及び契約の方法を活用−を追加する。
地域経済の発展と優良な企業の育成の促進に、◇情報通信技術の活用、新技術・新工法の導入推進等による生産性の向上−を追加する。
府入札制度等検討委では、「担い手不足や長時間労働の常態化などは構造的な問題であり、早急に対応すべき」「書類の簡素化などを求める現場の声がある」「発注時期の平準化など柔軟にしていく必要がある」「京都府独自の大胆な取組があってもいいのではないか」などの意見が出た。
府は今回の検討委の意見を踏まえ、修正内容を検討し、6月頃に再度意見を聴取する予定。