県土木部は、受発注者の業務効率化を促進する観点から、情報共有システムの活用要領を新たに策定した。設計金額2000万円以上の工事に関して、電子納品ガイドライン等で定めるASP方式のシステム活用を原則化。プロバイダは受発注者協議の上で決定し、対象外の案件でも希望に応じて利用できる。適用は4月1日以降の契約分から。運用拡大によって、受注者の働き方改革も後押ししていきたい考えだ。
対象は、土木部や漁港漁場課(商工労働水産部)、観光課(PR・観光戦略部)の所管工事で、土木工事標準積算基準書に基づく設計金額が2000万円以上の案件。ただし、インターネット環境が確保できないなど、やむを得ない理由がある場合は対象外となる。
情報共有システムは、県電子納品ガイドライン・運用の手引きに定めるASP方式とし、プロバイダは受発注者協議の上で決定する。システムにかかる費用は、共通仮設費の率に含まれるため、受注者希望で対象となった案件でも別途計上することはない。
発注側のシステム利用者は、監督員、総括監督員のほか、担当係長や技術補佐、課長、部長なども含まれ、処理状況や変更協議の内容等を把握・共有する。受注者側は、現場代理人や監理技術者(主任技術者)に限らず、その確認体制を構築することを推奨する。
対象は4月1日以降に契約する工事で、対象外の工事(既に施工中含む)であっても受注者の希望により対応可。業務委託も希望に応じて対象とすることができる。
監理課技術管理室の徳留忠昭室長は「現場の週休2日など、受注者の働き方改革を後押しする取り組み。幅広い理解と活用に期待したい」と話した。
■記者の眼
出先機関も十分な理解を
「現場の効率化」をキーワードに、業界からも声が上がっていた情報共有システムの活用。県監理課技術管理室によると、任意での活用は数年前から始まっているものの、2018年度の実績(土木部所管工事)は約300件と総数の1割程度しかない状況にある。
4月から対象となる「2000万円以上」の工事の想定件数は約800件。少なくとも総数の3割まで活用が底上げされることになる。受注者に限らず、出先機関を含めた発注担当者の理解、対応にも目が向けられそうだ。
(田原謙一・常務取締役(兼)報道部長)