静岡市は、駿府城公園天守台跡地一帯の野外展示化について、2020年度は基本設計を発注する。石垣保存なども含めた遺産の保全、展示を両立させながら、公園として整備していく計画。
16年から進めてきた発掘調査は、19年度で一段落する。第2工区の天守台跡調査では、家康時代の1607年ごろ(慶長時代)の天守台跡、内側から豊臣時代の1590年ごろ(天正時代)の天守台跡が確認された。金箔(きんぱく)瓦330点、しゃちほこなどの金箔瓦33点など歴史的価値のある遺産が出土している。
天守台跡は、家康時代のものが61b×68b、一部重なり合う形で豊臣時代のものが一辺20bの正方形の規模で計約4150平方b。第2工区3・8f(天守台、内堀、清水櫓など)のうち、天守台広場面積は約2・4fとなっている。
遺跡の見せ方、石垣などの保存、出土品の展示などの観点から、建築、土木の両面から公園整備の方向を探っていく。
一帯を回遊するための園路整備や展望施設などの整備も予想されるが、現存する最大高さ6・5b(元は高さ19b)の石垣保全なども重要な検討テーマとなる。ただし、全体を覆う屋根などの大規模建築や橋梁などの大規模構造物は計画していないもよう。
1月に発掘調査報告会、2月に発掘現場説明会など市民向けイベントを実施。アンケート調査なども行い、2020年度も同様のイベントを通して市民の意見を吸い上げながら、基本設計に着手する。実施設計や工事時期は白紙だが、最短で21年度の実施設計、22年度からの工事もあり得る。
発掘調査では、駿府城天守台は、江戸城をしのぐ、日本最大の規模だったことなどが分かっており、貴重な観光資源として歴史文化施設との相乗効果も期待できることから、慎重に整備手法の検討を進めていく。
提供:建通新聞社
(2020/3/11)
建通新聞社 静岡支社