東京都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けて取り組んでいる工事と設計等業務委託への対応策と、国の通知などに関する都としての現段階での解釈をまとめた。国土交通省の通知に基づき都の各局は現在、受注者に対して工事(または設計等委託業務)の一時中止や工期・契約期間の延長の意向確認を進めている。受注者からの申し出があった場合、契約書に基づき工事や設計等委託業務の一時中止や設計図書などの変更を行う。その際、必要に応じて契約金額の変更、工期や契約期間の延長を行うなど適切に対応する。今後公告(公表)する案件については、最新の実勢価格等を踏まえた積算に基づき適切に予定価格を設定する。
都では国の対応策を踏まえ、2月28日付で財務局長名の通知を発出。受注者の感染拡大防止の意向を尊重しつつ必要な支援を行う観点から、受注者に対して工事や業務の一時中止や工期・契約期間の延長の意向を確認し、その結果、受注者から申し出があった場合、一時中止や設計図書などの変更を行うこととした。工事や業務の従事者に新型コロナウイルス感染症への感染が確認された場合にも同様に対応することとし、一時中止の期間は、他の従事者への感染の状況などを踏まえて適切に設定する。これらの対策の結果、工期や契約期間が年度をまたぐ可能性がある場合には、都が繰り越しなどの手続きを行うことにしている。
その後、国交省から入札などの手続きに関する対応について通知があったことから、その趣旨を踏まえた都の対応策を順次まとめている。
低入札価格調査やプロポーザル方式による提案内容の確認など入札契約の手続き上、3月2〜15日にヒアリングの実施を予定している場合、国の対応に準じて、16日以降に日程を延期できるか検討する。15日までに実施する必要がある場合、可能な限り電話やWEBによるテレビ会議システムを活用する。やむを得ず対面でのヒアリングが必要となった場合は、最小限の人数で参加するよう要請するとともに、感染予防の対策を徹底。合わせて出席者全員の氏名を記録する。
一方、今後公告する工事などについて、国は「一時中止などを行ったことにより完成しない工事等について、(競争参加資格や総合評価落札方式の評価項目の)評価の対象とする」「一時中止などより完了が年度を越える業務のうち、新年度に行われる部分については手持ち業務量とみなさない」との対応例を示しているが、現時点で都の入札契約手続きでは対応しないこととする。
新型コロナウイルス感染症対策に伴う影響により、受注者の検査体制が整わないなどの理由で、受注者から完了検査に応じられないとの申し出があった場合、完了届の受け付けを留保して差し支えないものとする。
中小企業庁から要請のあった「中小企業・小規模事業者に対する官公需における配慮」についても、国に準じて取り組む。翌年度にわたる工期・納期の変更などに柔軟に対応するとともに、工事・業務などの完了後、速やかに支払いを行うよう努める。需給の状況や原材料費、輸送など最新の実勢価格を踏まえた積算に基づき、適切に予定価格を設定する。
提供:建通新聞社