富山県生コンクリート工業組合(酒井正人理事長)は2月28日、富山市のホテルグランテラス富山で、19年度「経営者技術講演会並びに品質管理監査合格証交付式」を開いた。交付式では、品質管理監査で「適合」の判定を受けた35工場の代表者に、合格証がそれぞれ手渡された。
県生コンクリート品質管理監査会議の委員、各工場の代表者ら84人が出席。開会あいさつで酒井理事長は、富山の生コン業界の歴史を振り返り、「工業組合が設立した昭和53年の出荷量は259万6000立方メートルで、統計上最高の出荷量。平成は2年の253万6000立方メートルがピーク。徐々に需要が減少し、現在は75万立方メートル前後で、ピークの30%を切る水準に落ち込んでいる」と説明した。
その上で、「日本の経済活動は自由競争が大前提だが、生コン業界は、協同組合による共同販売が認められている。生コンが社会資本の大切な基礎資材であり、良い品物を必要な時に安定供給し、かつ適切な価格で販売することが求められていると言うこと」と話し、「生コン業界が今後とも魅力ある仕事となるためには、各社の自助努力も必要だが、生コン価格の値上げに理解を賜る必要がある」と述べた。
続いて、同監査会議議長の伊藤始富山県立大学環境・社会基盤工学科教授が、「コンクリート技術の歴史について」と題し講演し、「学生が土木工学に誇りを持てるよう、土木工学の歴史、技術の成り立ち、自分の経験を伝えている」と述べた上で、コンクリートに関する図書を基にダムや道路橋、コンクリート製品、材料といった、日本のコンクリート構造物の歴史を詳しく説明した。
材料力学の歴史も説き、「人間が構造物を造る上では、安全な部材寸法を決める法則を得ることと、材料の強さを知らなければならない」と強調。レオナルド・ダ・ヴィンチやドミノ・ガリレオ・ガリレイらの業績を紹介した。最後に富山で触れた古い橋に関する研究成果を報告し、「先達が積み上げてきたコンクリート技術が、現在とこれからのコンクリート構造物を支えている」と結んだ。
交付式では、監査統括責任者の大橋浩一氏が19年度の品質管理監査結果事業の概要を説明し、「不適合の工場はなく、昨年度に比べ減点0が同数の29工場。全工場の合計減点数は6点減少し、強度の出すぎでの1点減点が5工場などだった」と報告。さらに、「引き続き監査制度を活用し、品質管理と安定供給にさらなる努力を重ね、安心して使用してもらえる生コンにしていかなければならない」と協力を求めた。
引き続き、伊藤議長が35工場の代表者に、品質管理監査合格証を手渡した。閉会あいさつでは、同監査会議の花岡大伸副議長が「昭和、平成に続き、令和の時代も良い生コンを安定供給できるよう、皆さんと取り組みたい」と話した。