県産材の活用を普及させようと鳥取県木造建築セミナー(主催・県木材協同組合連合会)が26日、鳥取市内で開かれた。地域材を用いた木造建築の第一人者・山辺豊彦氏(山辺構造設計事務所代表)が講演し、自身が全国各地で手掛けた校舎や体育館を取り上げて構造や強度を説明。木造建築物の特性や技法を語った。
「県産JAS製材品を活かす木の住まい・建物づくり」と題した講演で、山辺氏は「地元のJAS製材と職人を使うことが重要だ」と強調。その上で、教室棟(鉄筋コンクリート造)の内外装を木質化した香美町立村岡小学校や、地場のヒノキ材を活用した韮崎市すずらん保育園を例に、屋根のトラス接合部をはじめ架構形式などにスポットを当てて詳細に解説した。
地域材を使用した木造建築の課題では、「山側(製材生産者)と設計者、発注者(役所)によるスムーズな流れが欠かせない」と指摘。生産者が製材の品質を設計者に明確に伝える大切さを説いたほか、「木材の伐採から乾燥までの製材期間を見込んだ工事スケジュールは複数年になる」と述べ、製材と工事の分離発注や複数年度発注など発注者の対応も促した。
また、門脇構造研究所の門脇昇氏が県内の中規模建築物の事例を紹介。林業試験場屋内試験棟や八東保育所、智頭森林組合事務所の新築工事に触れて、使用材料や屋根架構などの特徴を説明した。
セミナーは県産材を活かした設計手法とJAS製材品に理解を深めてもらうことが目的。翌27日には米子市内でも開かれ、設計事務所や木造住宅の関係者らが関心を寄せた。
日刊建設工業新聞