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建設経済新聞社
2020/03/02

【京都】水道事業ビジョン中間見直し案 第二浄水場は更新か統廃合

 綾部市は2月25日、綾部市水道事業ビジョンの中間見直し案を公表した。
 平成27年7月のビジョン策定以降、改正水道法に基づく水道の基盤強化の推進、広域連携、IoTの進展など、水道を取り巻く環境が大きく変化する中、より安全で強靭かつ持続可能な水道を次世代に継承する計画書として、現行ビジョンを見直した。
 主な内容をみると、水道未普及地域の解消では、基本方針は「水道未普及地域については、整備・管理などが効率的に行える手法や小規模井戸整備などの供給方法について検討する」とし、実施計画は「地域要望に応じて水道未普及地域の整備の検討を進める」とした。
 組織機構の改革では、基本方針は「職員数の適正化を図ることで効率的な事業運営に努める」とし、実施計画は「必要な職員数を確保しつつ、適正な職員配置を検討することで業務の効率的な運営を行う」とした。
 外部委託の検討では、基本方針は「外部委託が可能な業務は、コストや業務の効率化を勘案して導入を検討する」とし、実施計画は「業務の効率化を図るために、個々に委託している業務を一括で委託することを検討する。外部委託可能な業務について詳細な検討を進め、採用できるものは、積極的に委託を検討する」とした。なお、令和2年度からは、料金滞納徴収、給水栓の開閉の対応に加え、窓口・検針・調定・収納業務等を一括して委託している。
 アセットマネジメントの見直しでは、基本方針は「施設・設備の劣化状況、維持管理状況、耐震化状況などを勘案し、中長期的な観点から整備計画を策定する。施設整備計画にあたっては、投資の平準化を図り、修繕なども考慮してライフサイクルコストの低減を図る」とし、実施計画は「ライフサイクルコストを勘案した効率的な施設の管理運営に努める。アセットマネジメントの更新に重要な情報となる水道施設の維持管理情報を蓄積し、修繕やライフサイクルコストの低減を図るため、定期的な見直しを行い、投資の平準化を図る」とした。
 施設のダウンサイジング・統廃合の検討(重点項目)では、基本方針は「更新が到来する第二浄水場について、需要量に対する水源水量および浄水施設能力を勘案し、更新の必要性や統廃合について検討を行う。また点在する配水池やポンプ施設の統廃合を計画的に進め、維持管理の容易な施設整備に努める」とし、実施計画は「第二浄水場は、需要量の将来予測や将来の財政状況などを勘案したうえで、適切なタイミングでの更新または統廃合を検討する。送・配水施設は、需要量の低下により、更新時期に合わせて計画的なダウンサイジングや統廃合の検討を行う」とした。
 配水エリアの見直しでは、基本方針は「上水道区域内の水源、浄水場の統廃合を行った場合の効率的な送配水にかかる水運用の見直しを行う」とし、実施計画は「需要量に追従し、既存の管路を有効に活用しつつ、管路の更新整備と合わせるなど合理的な配水エリアの再編を順次進めている」とした。
 適正な管口径の検討では、基本方針は「将来的に過大な設備投資とならないように、適正な管口径を検討し、管路更新に合わせて布設替を実施する」とし、実施計画は「管路更新については、施設の統廃合や配水系統の見直しに対する適正な口径検討を行う」とした。
 遊休施設用地の有効活用では、施設の統廃合に伴い、一部のポンプ施設や配水施設が使用されていない状況となっており、基本方針は「水道事業の資産である遊休施設用地の有効活用方法の検討を行う」とし、実施計画は「遊休地の売却、貸付などの有効活用に向けた検討を行う」とした。
 料金の見直し(料金改定)(重点項目)では、基本方針は「今後も安全な水の提供を図るために、資産の適切な維持管理と老朽化資産の更新、健全な財政運営を確保したうえで、料金の見直しを検討する」とし、実施計画は「平成28年度に水道料金の改定を行っており、今後とも効率的な事業運営や経費の削減、更新計画を勘案し5年毎に10年の財政計画を見直し、それに基づいた給水原価を算定し、給水原価と供給単価を検証したうえで、適切な時期に料金の見直しを行う。当面、令和2年に次期料金算定期間(令和3年〜令和7年)に向けて料金のあり方を検討する」とした。
 技術の継承では、基本方針は「ベテラン職員が有する経験やノウハウを次世代へ継承できる仕組みを構築し、技術の継承に取り組む」とし、実施計画は「ベテラン職員による研修や業務マニュアルの作成を行ない、技術の継承を図る。この他、外部委託の活用や近隣事業体との連携により、人材育成、施設運営、経営など各分野の発展的な連携を行い、技術の継承を図る」とした。
 省エネ型機器の積極的な採用では、基本方針は「高効率機器を積極的に採用し、再生可能エネルギーの効果が期待できれば導入を検討する。庁舎における電気使用量、紙の削減に努めるとともに建設副産物の有効利用を進める」とし、実施計画は「機械・電気設備の更新時に、設備能力の適正化を図ると同時に、高効率型機器の採用やインバータ制御のあるポンプなどを積極的に導入する。また小水力発電などの再生エネルギーの導入効果が得られる場合は、導入を積極的に検討し、電力会社の負荷低減を図った水道システムの構築を目指す。庁舎においては、LED電球や高効率型機器を採用し、電気使用量の削減に努める」とした。
 広域連携に向けた取り組みの検討では、基本方針は「北部圏域では、京都府北部地域連携都市圏形成推進協議会が設置され、一つの経済・生活圏として地域の活性化を図る取組が行われている。これまで様々な連携を積み重ねて築いた関係をてこに、広域連携を推進しながら、地域の実情を踏まえて、安定経営を目指す」とし、実施計画は「施設の共同設置、維持管理業務の共同実施や営業業務の共同委託等の広域連携を幅広く検討していく。また既存の広域行政の枠組みを活用した広域連携の検討によりスケールメリットを生かした安定経営を目指す」とした。
 耐塩素性病原微生物(クリプトスポリジウムなど)対策の強化では、基本方針は「クリプトスポリジウムによる汚染のおそれのある水源に適切なろ過設備の導入を行う」とし、実施計画は「今後は、耐塩素性病原微生物を検出した水源に対して、ろ過設備の出口において濁度を0・1度以下に維持することが難しい場合は、クリプトスポリジウム等の感染性を消失させる紫外線処理設備を導入する」とした。
 工事業者に対する指導の継続では、基本方針は「指定給水工事業者への統一的な指導を行うために、給水工事許可申請マニュアルなどを活用し、適宜マニュアルの更新を行う」とし、実施計画は「給水工事許可申請を行う際のマニュアルを活用し、給水工事許可申請書の作成の効率化に努める。また工事業者への指導を継続し、技術力の維持・向上に努める」とした。
 施設・管路の更新および耐震化(重点項目)では、基本方針は「アセットマネジメントを用いた計画に基づく効率的な更新計画により、随時、法定耐用年数超過施設の更新を行う」とし、実施計画は「施設および設備の維持管理を適切に行うことで長寿命化を図りつつ、法定耐用年数超過設備率の効率的な更新を行っていく。管路施設は、令和6年度の法定耐用年数超過管路率23・7%を目標に更新を行う。土木・建築構造物の更新を行う際には、施設の耐震化も合わせて進めていく」とした。
 管路の管網化(配水ブロック化)では、基本方針は「配水管網をブロック化し、配水圧力の均等化および水圧管理の簡便化、事故発生時の被害の局所化を図る」とし、実施計画は「水圧が不足している地区および水圧が過大となっている地区を整理し、配水圧力の均等化を図る。ブロック化においては、水圧管理の簡便さや災害発生時の被害規模、管路布設費などを考慮して適切なブロック規模を検討する」とした。
 事業計画に対する資本的収支の予測では、資本的支出は令和2〜10年度まで概ね6億円超、11年度は6億円割れと予測する。