東京都は2020年度、木造住宅密集地域を対象とした不燃化対策の新たな取り組みとして、防災性向上と合わせて魅力的な街並みの再生に取り組む区に対する支援事業を開始する。2月26日の都議会本会議で、佐藤伸朗都技監が方針を示した。
都は木密地域対策を加速化するため、1月に防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案を策定。この中で、木密地域の改善と併せて、地域の特性に応じた魅力的な街並みの住宅市街地への再生を促進するとの方向性を示していた。
木密対策のさらなる推進を求める都議会各党の代表質問を受けて、佐藤都技監は、推進計画本体の改定に先立ち、方針の改定案に盛り込まれた取り組みを早期に具体化する考えを示した。モデル的な取り組みを行う区に対する支援を20年度から開始する。商店街を対象に、建て替え中の事業継続に向けて専門家を派遣するなど、ソフト的な支援に取り組む考えも示した。
また、無接道敷地での建て替え促進や、高齢者の住み替え円滑化など、より実効性の高い不燃化対策を推進。不燃化対策の進捗(しんちょく)や将来見通しを示したカルテを区に提供し、強化すべき対策を絞り込む。
代表質問ではこの他、昨年の台風19号を踏まえた災害対策の推進を求める意見も出た。三浦隆建設局長はこれに対し、河川ごとの特性を踏まえた対策の必要性を強調。溢水が発生した南浅川をはじめ7河川を対象に河道の蛇行区間や狭あい箇所の把握調査を進め、今後、局所改良や護岸強化に取り組むとした。
また、多摩地域を中心に発生した土砂災害については、避難所の有無を踏まえながら砂防堰堤の整備を計画的に推進。青梅市成木地区など6カ所で20年度に基本設計を実施する。
多摩川周辺で発生した内水氾濫への対策では、雨水管や貯留施設の整備を引き続き支援するとともに、浸水予想区域図の作成が進んでいない自治体に対し、技術支援を実施する考えも示した。
山間部にあるトンネルの交通確保では、予防保全管理と合わせた更新を継続。20年度は多摩地域の鳩ノ巣トンネルなど2トンネルの保全事業に着手する。
提供:建通新聞社