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建通新聞社(東京)
2020/02/20

【東京】小池知事が施政方針 防災対策を進化、交通インフラを充実

 東京都の小池百合子知事は2月19日、2020年第1回都議会定例会の開会に当たって施政方針を表明し、豪雨対策アクションプランに基づく新たな調節池の整備など防災対策をさらに進化させるとともに、無電柱化の面的な加速や不燃化、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化といった災害に強い都市の形成、多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸をはじめとした鉄道網の充実に重点的に取り組んでいく考えを示した。
 小池知事は、東京2020オリンピック・パラリンピックを成功に導き、その先の明るい未来をつかみ取るための羅針盤として策定した「未来の東京戦略ビジョン」について触れ、「区市両村や民間事業などと積極的に連携・協働し、約120の推進プロジェクトを迅速・強力に展開する」と述べた。合わせて先日公表した「新たな都政改革ビジョン」について、都政を取り巻く環境やニーズの変化に迅速・柔軟に対応し、都民目線で政策やサービスを練り上げることが重要だとし、改革の具体策を実行方針として取りまとめていく考えを示した。
 20年度予算案については、過去最大となった19年度に次ぐ規模で編成し、「未来の東京を創る取り組みに重点的に事業費を配分した」と説明。戦略ビジョンに基づく投資により持続的に成長を生み出すとともに、改革ビジョンを踏まえた事業評価の進化によって健全な財政運営を進めるとした。
 コミュニティーの活性化によって東京の活力を高めるため、老朽マンションの適正管理に向けて、都道府県初となる管理状況の届け出制度を4月に開始する他、今後の住宅政策の在り方を住宅政策審議会に諮問し、21年末をめどに新たな住宅マスタープランを策定する意向を示した。
 安全安心を確保するための取り組みでは、「防災対策のさらなる進化を期す」と表明。新たに策定した豪雨対策アクションプランに沿って、現在進めている環状七号線地下広域調節池などの整備を着実に進めつつ、河川への監視カメラ設置拡大や樋門などの施設改良に取り組むとした。さらに、30年度までに合計で容量約150万立方bの新たな調節池を事業化するとし、まず20年度に石神井川と境川で事業に着手する方針を打ち出した。
 災害に強い都市の形成に向けては、無電柱化事業を推進すると強調。20年度に新たに「無電柱化加速化戦略」を策定し、区市町村や民間との連携、整備コスト縮減に向けた技術開発の促進などを通じて無電柱化を面的に加速する意向を示した。21年度末をめどに防災都市づくり推進計画を改定し、無接道建物の不燃化や、木造住宅密集地域の街並み再生にも取り組む姿勢を示した他、緊急輸送道路沿道建築物の耐震性を高めるため、特に倒壊の危険性が高い建築物の段階的な改修や、テナントビルの耐震化に向けた支援を拡充する考えも示した。
 東京の活力を引き出すため、多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸に向けた調査に着手する。地下鉄8号線などの路線についても、国や地元自治体、鉄道事業者との連携・調整を加速する意向を示した。市場跡地の築地のまちづくりについては、本格的な事業に先立ち船着き場周辺エリアを先行的に整備することとし、「具体の実施方針を19年度内に公表し、民間の創意工夫を生かすことで、新たなにぎわいを早期に創出する」と述べた。

提供:建通新聞社