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鹿児島建設新聞
2020/02/18

【鹿児島】外国人技能実習生の受入れ 「さつま建設連合協組」が設立/建設特化では県内初

 外国人労働者の雇用が拡大する中、県内で初めて建設産業に特化した技能実習生の受け入れ機関「さつま建設連合協同組合」が誕生した。鹿児島市に拠点を置き、建設企業の経営者らが主体となって発足。業界を知るプロ集団として、単なる人材確保にとらわれず、実習生の人権尊重などにも目を向けたサポートを目指す。 
 建設産業の外国人労働者は、現場の人手不足の影響もあって全国規模で増加。その大半を技能実習生が占め、県内でもその割合は8割超に上る。雇用はさらに増える見通しで、業界に特化した専門機関によるサポートを求める声が目立っていた。 
 こうした中で立ち上げた同組合は、1月末に外国人技能実習機構から監理団体の認可を取得。鹿児島市で建設業を営むイサム(山元貴代社長)のほか、DIPジャパン(脇田彰一社長)、イレブン総合開発(脇田幸男社長)、シダイ電気工業(大川浩志代表)の4社が主体となって運営する。代表理事には山元氏が就き、業界の知識に女性ならではの視点も加えたサポートに取り組む。 
 受け入れ先は、ベトナム(対象はハノイおよびその周辺が主)を中心に、今後はミャンマーや他国への展開も計画。従事できる作業内容など通常なら返答に数日かかりそうな専門的相談も、「業界を知る機関として迅速に回答できる」としている。 
 すでに業者から加入依頼や問い合わせが寄せられており、近くベトナムで12人と面接を行う予定。渡航時は、事業者や担当責任者の同行を要請する方針で、生活環境に触れてもらうため、対象者の両親などと面談する機会も設ける。 
 「残された家族を思い、生活面のケアも徹底していきたい」と山元代表理事。自身が家庭を持つ身であることも踏まえ、「毎月1回以上の本人面談を通訳付きで行い、距離を感じさせないように支援していく」と話す。来日後に行われる日本語の学習期間中は、要望に応じて安全講習等の指導にも努めたい考えだ。 
 問い合わせは、同組合事務局(鹿児島市真砂町76−9 рO99・298・5215)まで。 

★記者の眼 
 外国人労働者が増加する中、建設産業に特化した監理団体として県内で初めて発足した組合。受け入れ制度が当初位置付けていた「国際貢献」から「人材確保」へと変化しつつある現状に、改めて実習生の「人権尊重」に目を向けた運営の大切さを強調する。 
 2019年10月末現在、県内建設業で働く外国人は739人。このうち技能実習生は625人と85%を占める。19年4月に施行された新在留資格の「特定技能」は、取得条件の難易度や対象職種の少なさから、導入には現実味がない企業も多い。 
 その中で生まれた専門知識を有する監理団体は、本来果たすべき実習生に対する文化・技能の継承と建設業の有益な発展の両立に貢献できると信じたい。今後の動きに期待が高まる。 
(鈴 元気・報道部記者)  

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