トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(神奈川)
2020/02/18

【神奈川】神中建、横建協が発注機関と工期設計など議論

 国土交通省や神奈川県、県内4市(横浜、川崎、横須賀、藤沢)と、神奈川県中小建設業協会(河ア茂会長)、横浜建設業協会(山谷朋彦会長)の意見交換会が2月14日、川崎建設会館で開かれた。協会側は、各発注者による発注の平準化や適正工期の設定などを要望。国交省は関係する機関・部局との連携の下で取り組む必要があるとの考えを示した。
 冒頭にあいさつした全国中小建設業協会(全中建)の土志田領司会長=写真=は昨年の台風災害への対応に触れ、地域に根ざした建設業が果たす役割の重要性を強調。全中建の活動について「われわれが普段行っていることをやれば、おのずから存在価値は高まる。地域のためになり、役に立つ団体として活動していく」と述べた。
 河ア会長=写真=は業界を取り巻く状況について「週休2日への対応や、長時間労働の是正などが大きな課題」との見方を示した。その上で、県内建設業の給与水準、川崎建設業協会会員の入札参加状況など具体的なデータを示し、地域建設業がいまだ厳しい環境に置かれていることを指摘。「最低制限価格が(予定価格の)95%以上でないと、大幅な改善にはつながらない」と訴えた。
 その後、国交省の西山茂樹入札制度企画指導室長が現在の取り組みなどについて講演。施工時期の平準化については、土木担当部局だけでなく、財政部局、議会などの協力が不可欠とし、土木部局が動きやすい環境づくりに努める考えを示した。
 意見交換では、工期設定や発注・施工時期の標準化など働き方改革がテーマとなった。国交省は中央建設業審議会のワーキンググループで工期設定基準の検討が進んでいることを説明し、自然的要因や休日などを盛り込むことを想定しているとした。また、工期設定と施工時期の平準化を発注者ごとに「見える化」することで、地方自治体に問題意識を持たせる考えを示した。県と横浜市は、働き方改革への具体的取り組みとして、ゼロ県債、ゼロ市債、余裕期間制度の活用といった取り組み内容を説明した。
 i―Constructionの推進に向けては、中小業者でも取り組みやすいICT活用を協会側が要望。講習会や現場見学会の拡充も求めた。国交省はこれに対し、年間500回を超える見学会・講習会で先進事例の共有に努めるとともに、相談窓口の設置に力を入れているとした。今後は、サポート事務所の拡大、小規模土工分野への活用などに努める方針を示した。
 地域が抱える問題として協会側が挙げたのは、災害時の対応。激甚化する自然災害に備えるため、情報を共有できるシステムの構築がその内容。また、地元企業の活用なども訴えた。
 国交省は、統合災害情報システム(DiMAPS)の活用を呼び掛けた。地元企業の活用については、国、県、横浜市がそれぞれ随意契約の活用など柔軟な対応に努めていると答えた。
 建設キャリアアップシステム(CCUS)に対しては、中小建設業がメリットを感じられず、浸透していないとの意見が協会側から出された。国交省は3月にまとまる建設技能者の処遇改善と建設業の生産性向上に向けた施策パッケージを説明。CCUSを活用することで、賃金上昇の好循環や退職金充当・社会保険加入などにつながるとした。
 入札制度については、協会側が各自治体に改善要望を伝えた。多種多様なインセンティブ発注(川崎市)、余裕期間制度の実施(横須賀市)、最低制限価格引き上げ(藤沢市)などがその内容で、各市は必要に応じて改善を検討すると回答した。

提供:建通新聞社