東京都は、働き方改革を通じた建設業の魅力向上に向けた取り組みとして2020年度、週休2日工事を拡充するとともに、工事と設計等委託業務の平準化を促すため、ゼロ都債や工期12カ月未満の案件への債務負担(限度額)設定を拡大する。工事関係図書の削減・簡素化として、19〜20年度に試行するモデル工事82件も選定した。
都発注工事での週休2日導入に向けた取り組みでは、「受注者希望型」と「発注者指定型」を合わせ、18年度に約660件だった適用件数が、19年度は約780件に増える見通しとなっている。20年度は適用件数をさらに拡大するとともに、「適正な工期設定や工期延伸(契約変更)に対応してほしい」「週休2日を確保するための経費を適切に計上してほしい」「職人の手配や資機材の手配が困難になる時期があった」といった受注者の声も反映し、適正な工期の設定・延伸や必要経費の計上を着実に進める。
準備や後片付けも含めた工期を設定し、案件の公表(入札公告)時に工程表を参考資料として公表する他、実期間に合わせた工期延伸ができるよう、関係機関との協議期間などを特記仕様書に具体的に明示する。実施方法を検討しながら、必要な要領改定などを行う。
当初契約時から必要経費も計上することとし、▽労務費▽機械経費(賃料)▽共通仮設費▽現場管理費―を補正する。すでに実施済みの局の取り組みを参考に、他局でも経費補正の導入を推進する。
施工時期などの平準化に向けた取り組みでは、工事での「平準化率」と、設計等委託業務での「2〜3月に履行期限を迎える件数の割合」の目標達成に向け、債務負担の設定などをさらに拡大する。
工事の平準化率(年度の平均稼働件数に対する4〜6月の平均稼働件数の比率)については、21年度の目標値としている建築工事「0・9」(18年度実績0・83)と土木工事「0・9」(同0・79)、設備工事「0・8」(同0・69)を達成するため、ゼロ都債(当該年度の支出を伴わない債務負担)と工期12カ月未満の案件への債務負担(限度額)の設定をさらに増やす。20年度予算案では前年度比14%増となる約1758億円を計上した。
設計等委託では、2〜3月納期の件数割合の目標を(建築・土木)設計で「40%以下」(18年度実績52%)、測量で「40%以下」(同48%)、地質調査で「35%以下」(同36%)に設定している。こちらも工事と同様にゼロ都債や債務負担を活用し、20年度予算案では前年度比30%増の約73億円を計上した。
工事関係図書の削減・簡素化では、土木工事47件、建築工事6件、電気工事13件、機械工事16件の計82件を19〜20年度のモデル工事として選定した。統一様式では、工事請負契約書に着手日が記載されている場合の「工事着手届」や、施工体制台帳・施工体制図に記載されている場合の「下請負届」の提出を不要にするなど、全32様式のうち11様式を削減・簡素化できると位置付けている。各局が独自に定めている様式(延べ307様式)についても延べ49様式を削減・簡素化が可能としており、モデル工事での試行を通じて受注者と都監督員へのアンケート調査を行い、削減の効果や課題などの検証を進める。
提供:建通新聞社