東京都は設計等委託業務で最低制限価格制度を試行する方針を固めた。業務の品質を確保しつつ、将来の担い手確保・育成につなげることが狙い。競争入札案件のうち、WTO政府調達協定の対象と総合評価(落札)方式、単価契約の案件を除いた「建築設計」「設備設計」「土木設計」「測量」「地質調査」に適用する考えで、2020年度に財務局で契約する比較的規模の大きな案件で試行を開始する。試行を通じて課題の抽出・検証を行い、順次、試行範囲を拡大する。
都では、都有施設を将来にわたって適切に整備するためには、工事の品質とともに、“川上”に位置する設計等委託業務の品質を高めることが重要だと判断。落札率が著しく低い案件では、受注者の経営の圧迫や従事者へのしわ寄せにつながり、将来の担い手確保・育成を困難にする恐れがあるとして、最低制限価格制度を試行導入することを決めた。
最低制限価格の算定基準については、国の算定基準に準拠する。建築設計は「直接人件費+特別経費+技術料等経費(×0・6)+諸経費(×0・6)」、土木設計は「直接人件費+直接経費+その他原価(×0・9)+一貫管理費等(×0・48)」、測量は「直接測量費+測量調査費+諸経費(×0・48)」、地質調査は「直接調査費+間接調査費(×0・9)+解析等調査業務費(×0・8)+諸経費(×0・48)」で算定。建築設計と土木設計は予定価格の70〜80%、測量は70〜82%、地質調査は70〜85%の範囲内で最低制限価格(額)を設定する。
都はこれまで、設計等委託業務の予定価格を事前・事後とも公表してこなかったが、品質確保に向けた取り組みの一環として19年度、知事部局が発注する予定価格100万円超の設計等委託業務(建築設計、土木設計、設備設計、測量、地質調査)の全案件で予定価格の事後公表を始めた。財務局によると、事後公表案件の平均落札率は約65%だという。知事部局が発注する競争入札案件(WTO対象、総合評価、単価契約を除く)は、19年度実績で1135件に上っている。
提供:建通新聞社