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建通新聞社(中部)
2020/02/12

【岐阜】試算総額1464億 岐阜市の学校施設長寿命化計画案

 岐阜市は、学校施設長寿命化計画案を公表し、2020年度からの30年間の対応方針と今後5年間の整備方針を示した。学校施設の配置や規模の適正化、維持・更新時のコスト軽減など多面的な見直しが必要とし、地域や学校などと議論を行う方針だ。
 公表した計画案は小学校46校、中学校22校、幼稚園2園、特別支援学校1校、高等学校1校の校舎と体育館が対象。施設は252棟で全保有量は53・7万平方b。そのうち築30年を経過した施設は45・5万平方bで全体の85%を占めており、大規模改修や改築が必要な時期を迎えている。また施設の修繕や機能向上のための工事や改築などに要した経費は過去5年間の平均で年間27・9億円となっている。
 建築時期は昭和40年代から50年代に集中しており、建築後30年で大規模改修し、60年で改築する「従来型の更新サイクル」を想定した場合、今後30年間の維持・更新コストは総額1918億円、年間平均63・9億円が必要としている。これは過去5年間の年間平均の2・3倍となる。そのため目標使用年数を80年と設定し、建築後20年と60年で大規模改修、40年で長寿命化改修を行う「長寿命化の更新サイクル」に切り替え、ライフサイクルコストを軽減したうえで、さらに財政負担の平準化が必要不可欠としている。
 そこで劣化状況調査を行い、長寿命化が可能な施設を「長寿命化型の更新サイクル」に切り替える試算を実施した。試算の結果、今後30年間の維持・更新コストは総額1464億円で、「従来型の更新サイクル」と比較すると454億円(約24%)を軽減できる見込みとしている。
 一方、今後5年間の維持・更新コストを過去5年間の平均である年間27・9億円とした場合、25年度以降の25年間で現状の1・9倍となる年間53・1億円が必要と試算した。
 また維持・更新コストが現在の水準よりも上回る状況に加え、税収減や建設業の建築単価の上昇などの要因で施設の維持・更新は一層厳しくなることを想定。さらに児童・生徒の減少が見込まれる中、学校施設を保有したまま、長寿命化していくことは適切ではないとしている。そこで学校施設の配置や規模を適正化するとともに、維持・更新時のコスト軽減など多面的な見直しが必要としている。
 見直しの例としては、児童・生徒数の適正規模の維持が困難となった学校の統廃合、小中一貫校の整備、幼稚園の統廃合や認定こども園への移行、児童・生徒数生徒に合わせて減築、学校施設の福祉・子育て支援機能などとの複合化―などによる配置や規模の適正化。
 PPPやPFIによる民間資金・ノウハウの活用、先進的な工法や資材
の活用による建設コスト・維持管理コストの軽減、国庫補助や地方債の活用による市の負担額軽減―などによる維持・更新時のコスト軽減を挙げている。
 今後5年間の整備方針は早急に対応する必要がある部位の修繕、体育館へのエアコン設置を中心に進める。

提供:建通新聞社