東京都都市整備局のまとめによると、特定緊急輸送道路沿道建築物の2019年12月末現在の耐震化率は前年同期比1・1ポイント増の85・9%、耐震診断の実施率は0・2ポイント増の97・7%となった。旧耐震基準の建築物のうち建て替えや改修などにより耐震性を満たす建築物の割合は4・1ポイント増の46・1%だった。一方、耐震診断を行っていないため耐震性が不明な建築物が109棟あり、耐震性の不足が判明したものの改修工事に未着手の建築物は2500棟に上っている。都では、引き続き区市や関係団体と連携して建物所有者に耐震化の取り組みを促しつつ、20年度に耐震改修促進計画を改定して新たな指標と耐震化目標を掲げ、耐震改修の一部を実施するケースを助成対象に加えるとともに、占有者の移転などに必要な費用に対して助成額を加算するなど対策を強化する。
対象となる沿道建築物1万8452棟のうち新耐震基準で建てられた建築物は1万3613棟、旧耐震基準による建築物は4839棟ある。
旧耐震基準の建物では97・7%に当たる4730棟(前年同期比14棟増)で耐震診断が完了し、このうち2230棟(同31棟増)で耐震改修などの対策が完了した。新耐震基準の建築物と合わせた「耐震性を満たす建築物」は1万5843棟となり、耐震化率は前年同期を1・1ポイント上回る85・9%になった。
ただ、依然として耐震診断を実施していないため耐震性が不明な建築物が109棟(同4棟減)あり、耐震診断を受けたものの対策を行っていない建築物が2500棟(同26棟減)ある。
こうした状況を踏まえ、都では引き続き区市や関係団体と連携して耐震診断や設計・工事の実施を建物所有者に促しながら、改正条例に基づき占有者への働き掛けなどを進める。
また、策定から4年が経過する耐震改修促進計画を20年度に改定する。特定緊急輸送道路沿道建築物について、新たな指標として「区間到達率」「総合到達率」を採用し、25年の目標として「総合到達率99%、区間到達率95%未満の解消」を掲げる。この目標を実現するため、耐震改修の一部を実施する場合でも「改修後のIs値を0・3以上とすること」を条件に費用を助成する他、占有者のいる建築物では、移転などの際に発生する追加的費用に関して助成額を加算する考え。
提供:建通新聞社