富山市の「中規模ホール整備官民連携事業」(公募型プロポ、優先交渉権者=佐藤工業・大和ハウス工業グループ)における同事業PFI事業者選定委員会の審査総評は次の通り(原文のまま)。
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本事業には2グループから提案があった。両グループの提案は、これまでのPFI・PPP事業や不動産開発事業の豊富な実績に基づく、民間事業者ならではの創意工夫が随所に盛り込まれており、高く評価できる内容であった。
今回、最優秀提案として選定したTグループの総評を述べる。
Tグループの提案は、中規模ホールと商業施設、オフィス、ホテルを主体とした複合的な民間施設を同時期に開業させることで、芸術文化拠点機能の強化と富山駅北口エリアの新たな賑わいの創出を実現する意欲的な提案として評価できる。
事業計画については、各分野の専門性を持つ企業が連携することで、良質な中規模ホールを整備する計画となっている。また、中規模ホールと民間複合施設による集客に加え、両施設の間に整備される通路により、富山駅から環水公園へ向かう新たな人の流れを生み出すことが期待できる。
施設計画については、客席を移動すること等により、多様な用途や演目に利用可能なホールとなっている。また、ホールの南側に、通用口、楽屋口、搬入口を設け、隣接する芸術文化ホールとの連携や管理者の利便性を高めるとともに、楽屋等を会議室やイベントスペースとして利用できる配置とし、公演が行われない時でも日常的な賑わいを生み出す工夫がされている。
維持管理については、統括責任者として有資格者を常駐配置するとともに、夜間の機械警備中も警備専門事業者が5分以内に駆け付ける体制を構築している。また、修繕計画の定期的な見直しにより、ホールの安定稼働、設備の長寿命化及びライフサイクルコストの低減を図るなど、事業期間を通じて継続的に改善を重ねていく点も評価できる。
民間付帯事業については、カフェや物販施設等の商業施設、地元企業等のオフィス、ホテル等からなる地上10階建ての民間複合施設を整備することで、富山駅北口エリアの活性化につなげる意欲的な提案である。
事業効果については、市が支払うサービス対価総額の88・1%を地元企業に還元するとともに、維持管理業務において25名程度の新規地元雇用を見込んでいる点が評価できる。また、設計・建設段階において、舞台照明・音響等の機器の仕様について、可能な限り実機を準備し、芸術文化ホールのスタッフとともに、性能、操作性、メンテナンス性等を確認しながら検討する等、開業後の運営に配慮した独自の提案も盛り込まれている。
選定されたTグループにおいてはそのノウハウを最大限に活かして、提案内容を確実に実現するとともに、市においては業務水準の維持・向上のための継続的なモニタリングを実施されたい。さらに、市及びSPCは良好なパートナーシップを構築し、市民の芸術文化活動の充実に資する中規模ホールの整備を円滑に進めるとともに、余剰地売却先事業者とも連携し、公有資産の最適・有効活用を図り、駅北口エリアの新たな顔としてふさわしい風格のある美しい景観の形成と、賑わいの創出を図っていただきたい。
また、特に以下の事項についての対応・工夫・配慮等を、選定委員会として強く要望する。
・多数の企業によるグループであることから、責任の所在があいまいになることのないよう留意されたい。
・中規模ホールについて、ブラックボックスタイプとしての機能を再度整理されたい。また、ホール一部座席からのステージの視認性について、瑕疵のないよう計画されたい。
・利用者が各施設及びその諸室等に円滑にアクセスできるよう十分に配慮されたい。
・積雪荷重について、本市の季候特性に鑑み不足がないか改めて検証されたい。
・民間付帯事業の事業性が事業期間を通じて担保されるよう留意されたい。