川崎市が2月10日に発表した2020年度当初予算案は、一般会計、特別会計、企業会計を合わせた予算規模が1兆4852億8287万円で、前年度に比べて244億円増(1・7%増)となった。一般会計は、前年度比334億円増(4・4%増)。一般会計の投資的経費は、義務教育施設の再生整備などの19年度予算への前倒しによる減などがあるものの、本庁舎等建て替え事業、京浜急行大師線連続立体交差事業、等々力緑地再編整備推進事業の進捗による増などにより、前年度に比べて160億円増(17・3%増)の1078億円となっている。災害復旧費としては、昨年の台風19号により半壊・全壊した家屋の解体撤去費用や多摩川緑地の復旧工事費などを計上している。
特別会計(13会計)合計では、港湾整備事業会計による東扇島土地造成事業費の減などにより、前年度より143億円減(2・9%減)となり、企業会計(5会計)は、病院事業会計の建設改良費の増、水道事業会計の建設改良費の増などにより、前年度比53億円の増(2・6%増)となった。
主な建設事業を見ると、本庁舎等建て替えには24億7012万9000円を計上。市民の安全で安心な暮らしを確保するため、災害対策活動の中枢拠点として、高い耐震性能と業務継続性を確保した庁舎へと建て替える。
上下水道機能の安定確保のためには172億2145万2000円を充て、大規模災害でも水道と下水道がしっかりと機能するよう、施設の耐震化や老朽化した水道管路・下水管渠の更新を効率的に行うとともに、避難所となる小・中学校などに応急給水拠点を整備する。上水道施設・管路・管渠の耐震化では、22年度までに重要な水道管路と配水池、配水塔の耐震化を完了させる。
消防力の強化・救急医療体制の強化の一環として、栗谷出張所を改築し、防災活動拠点とする。21年度の完成を予定している。
保育園・子育て総合支援センターの整備では、中原区内(中原保育園・地域子育て支援センター)の建築工事、宮前区内(土橋保育園・地域子育て支援センター)の基本・実施設計、多摩区内(土渕保育園・地域子育て支援センター)の基本計画策定を実施する予定。
学校施設の環境設備には、77億4015万2000円を充てる。19年度補正予算対応分は149億0827万2000円。学校施設長期保全計画に基づく学校施設の改修により、安全で快適な教育環境を確保するとともに、早期に学校トイレの快適化を進める。また、児童生徒の増加に対応するため、校舎の増築や小学校新設に向けて取り組む。具体的には、20年度に学校施設長期保全に向けて取り組むのは校舎が23校、体育館が9校。学校トイレの改修は工事を実施するのが45校(補正分を含む)で、22年度までに全市立学校のトイレの快適化を実現させる。また、新川崎地区の小学校新設に向けて取り組む。
新百合ケ丘駅周辺の整備費として600万円を確保。横浜市高速鉄道3号線延伸計画など、周辺環境などの変化を見据えて、「新百合ケ丘駅周辺まちづくり方針」の策定に向け検討する。鉄道ネットワークの形成という面からも、横浜市高速鉄道3号線延伸に向けた取り組みを推進。1億1308万円で、延伸の概略ルート、駅位置を踏まえて、新百合ケ丘駅における乗り換え経路の検討などを行う。
鷺沼駅前地区市街地再開発事業については、再開発事業組合設立に向けた取り組みを進め、21年度の工事着手を目指す。柿生駅前南地区の再開発事業では、都市計画手続きを進める。
提供:建通新聞社