神奈川県が2月7日に発表した2020年度当初予算案によると、一般会計1兆9035億9000万円は骨格予算だった前年度当初比で4%の増加。投資的経費は3・7%増、肉付け後の19年度6月現計比で10・7%減の1602億3100万円となる。その内訳は、公共事業費が49・3%増(19年6月現計比8・7%減)の531億6800万円、県単独土木事業費が11%増(同6・9%増)の345億4100万円、その他投資が17・4%減(同18・4%減)の725億2100万円。昨年の台風15号、19号などを踏まえ、水防災戦略の推進に398億円余を投じる。22年度までの3カ年以内に河川の緊急対応や県営水道施設の災害対応力強化に努めるため。建築関係では、県立図書館新棟新築工事などに着手する方針だ。
特別会計は3・4%増の2兆1422億1900万円、企業会計は30・8%増の1486億4600万円。県営住宅事業会計は一般会計から特別会計に、流域下水道事業会計は特別会計から企業会計に移行。
水防災戦略の推進ではまず、早急な対応、迅速な整備が必要な箇所に対し、20〜22年度の緊急整備で被害の最小化を目指す。具体的には嵩上げコンクリートなどの緊急対応(山王川、目久尻川、境川)、緊急補修などの未然防止対策(相模川など15河川17カ所)、緊急堤防整備(歌川、金目川など4河川4カ所)などを実施する。予算額は54億6018万円。
中長期的な視点で取り組むハード対策には317億4325万円を投じ、遊水地や流路のボトルネック対策(引地川、境川、山王川、柏尾川など)、海岸保全施設整備(小田原海岸、葉山海岸など)、道路の防災対策の充実・強化(国道138号など)といった施策を展開していく。
また、治水対策の一環、都市河川重点整備計画(新セイフティリバー)の予算額は98億8005万円とした。洪水調節施設を計画する河川では、恩田川の施設設計や調査、河床掘削、矢上川の流入施設工や調査、柏尾川の用地取得などを進める予定。
〇「神奈川と静岡の県境をまたぐ道路」の調査設計に着手
自動車専用道路網やインターチェンジ接続道路、交流幹線道路網の整備などを展開する「かながわのみちづくり計画」関連には244億4303万円を計上。県道611号(大山板戸)大山バイパスや、県道42号(藤沢座間厚木)綾瀬スマートインターチェンジを主な整備路線としている。また、新たに「神奈川と静岡の県境をまたぐ道路」の調査設計に着手する方針だ。
新まなびや計画関連の事業では耐震対策に128億5092万円を充て、麻溝台高校など31校で耐震補強工事、海老名高校など53校で調査・設計、小田原城北工業高校など28校で老朽化対策を実施する。県立学校のトイレ環境改善(洋式化)は20年度中に47棟が完成予定。予算額は26億8917万円。8億6637万円を盛った空調整備は、高校の特別教室100室を対象とする。
この他、県立図書館再整備(2億5893万円)として新棟の新築工事を開始する。図書館(横浜市西区紅葉ケ丘)に近接する元紅葉ケ丘高等職業技術校の敷地1889平方bに建設する計画で、期間は21年度まで。設計は奥野設計(横浜市中区)が手掛けた。
26億9840万円を充てる県営住宅整備費では、21年度の事業着手に向けてPFI事業者の公募を準備。建て替え工事は追浜第二団地6期(横須賀市追浜本町2丁目)を20〜21年度に実施する。計画規模は鉄筋コンクリート造4階建て1棟28戸。
○管路更新率を引き上げ
公営企業会計では、水道施設の災害対策関連に165億7000万円を計上した。このうちの153億3000万円が管路・浄水場の耐震化で、管路7万1954bを更新する。更新率0・76%は水道事業経営計画で掲げた数値(0・72%)を上回る水準。事業別の内訳は、老朽配水管リフレッシュ事業88億0126万円(布設延長5万4880b)、大口径老朽管リフレッシュ事業26億4009万円(同2394b)、災害協力病院への供給管路耐震化など32億6894万円(同1万4680b)など。
電気事業では、相模ダムのリニューアルの実施設計などを進める。各種調査業務や管理事業費を含めた予算は2億6200万円とした。22年度の準備工事着手、24年度の下流施設工事着手などの向け、建設技術研究所(東京都中央区)による概略設計が進んでいる。
この他、市町村からの要請に基づく「地域振興施設等整備事業」については、寒川町学校給食センター整備事業を開始。町が実施する基本・実施設計に企業庁が技術協力する。
提供:建通新聞社