公益財団法人建設業福祉共済団(東京都港区虎ノ門、茂木繁理事長)は、法定外労災補償制度「建設共済保険」について、さらなる制度充実を図っており「備えることは、守ること。」と「働く人の想いに応える、安心を。」をキャッチコピーに、加入促進に向けた普及活動を積極的に展開している。
同共済団の主力事業である厚生労働省・国土交通省認可の「建設共済保険」は、建設業界の労災上乗せ補償共済制度の確立を切望する声の高まりを受け、全国建設業協会との特約により、全国初の法定外労災補償制度として、1970(昭和45)年11月に創設。今年で50周年の大きな節目を迎える。
建設業に従事する労働者が、業務上・通勤災害で死亡、重度の障害または傷病を受けた場合、国の労災保険の給付に上乗せして保険金を支払う制度で、安い掛金でも手厚い補償が受けられることが特長。加入方式として基幹契約の「年間完成工事高契約」と、付随契約の「関連事業契約」および「甲型共同企業体契約」がある。掛金全体の85%を保険料相当分として建設共済保険事業に、残る15%を共済事業相当分として、労働安全衛生推進事業と育英奨学事業などに充当している。
このうち、年間完成工事高契約は、被災者などに対する追加的補償を行う「被災者補償」と、労働災害に起因した企業の諸費用を補償する「諸費用補償」で構成。労働者福祉の向上、労働災害による企業の経営上の危機に備える制度として、契約数は2万4000社に上る。主な特長は、(1)建設業における自主的な共済保険で掛金が安い(2)被災者への補償だけでなく、災害発生時に企業が負担する諸費用も補償(3)同一事故で多数被災した場合や契約期間中の複数事故でも補償額の上限なし(4)元請・下請を問わず無記名で補償し、同一現場における重複支払いも可能(5)代表者(保険契約者)も補償、掛金は不要(6)経営事項審査において15点の加点―。
一方、16年度に開始した「労働安全衛生推進事業」は、年間掛金に応じた現場の安全衛生用品を頒布するほか、▽現場の女性専用トイレの導入費用に対する助成▽労働安全衛生推進者表彰▽地域に開かれた教育訓練施設への整備助成▽労働安全衛生に関する講習会開催への支援―が対象。また、20年度からは、安全衛生用品のカタログから自由に選択できる新たな仕組みを導入するとともに、20年度以降は女性の就労環境向上のため、トイレに加え、女性専用更衣室の設置も助成対象範囲に拡大していく。
育英奨学金事業は、保険金の支払いのあった被災者(死亡、障害・傷病3級以上)の子供に対し、返済不要の奨学金を継続して給付する。
建設業福祉共済団では、建設業界を取り巻く環境が厳しい今こそ、予期しない災害から生ずる多額の出費を回避し、堅固な経営基盤を確立するためにも、建設共済保険への加入を呼び掛けている。詳しい情報、掛金試算などの問い合わせは、同共済団(電話03―3591―8451)まで。県内の取扱機関は、富山県建設業協会(富山市安住町3―14 電話076―432―5576)となる。