19年第10回高校生の「建築甲子園」(主催=日本建築士会連合会、都道府県建築士会)で、全国ベスト8となる女性委員長特別賞を受賞した富山工業高校建築工学科チームの表彰式が4日、同校で開催された。
優勝、準優勝に次ぐ賞であり、第7回と第8回に全国優勝の連覇を達成して以来の入賞となった。受賞チームは、監督が建築工学科教諭の新村知範氏。選手(生徒)が上野叶実さん、江本ほのかさん、高田暁さん、津野圭壱さん、花森隆之介さんの5名で、いずれも同科3年生。
校長室で行われた表彰式には、県建築士会の近江吉郎会長、鈴木保二富山支部長が訪問。近江会長がチーム代表の高田さんに表彰状を手渡し、功績をたたえた。
高田さんは、受賞の感想として「長きにわたり課題に取り組み、つらい時もあったが、素晴らしい賞を頂け頑張った甲斐があった。とても嬉しい」と話し、「土地、場所を決めてから、設計に移るまでのコンセプトなどを決める点が大変だった」と振り返った。
一方、同校卒業生で藤井和弥科長の教え子でもある監督の新村教諭(同科1年生担任)は、「藤井科長から引き継ぎ、建築甲子園に取り組んだが、初めてのことばかりで、手探りの状態だった。生徒には結果のことは考えず、伸び伸びやってもらった。監督の立場で参加したが、6人目の選手のような感じで、生徒と一緒に議論しながら作り上げたプラン。賞を頂けるとは思っていなかったので、大変嬉しい」との感想を述べるとともに、「地域に合ったものを考える難しさと面白さを私自身も実感できた。ベスト8は頂いたが、内容的にはまだまだ改善の余地がある。次回も担当する場合は、この経験を生かしたい」と話した。
建築士会の近江会長は、「全国優勝を連覇した経験が脈々と伝統的に受け継がれ、レベルが上がっている。連覇が学生の刺激になったと思うが、常勝組のように頑張っており、とても嬉しい」とした上で、「第8回優勝作品である蓮町の県職員住宅のリノベーションプランが現実に採用されたケースは初めてだと思うし、凄いこと。これからは再生の時代。高校生の新しい目線で物を見ることは良いことであり、社会の課題を建築が解決することもある。若い方に敬意を表し、応援していきたい」と語った。
第10回の今テーマは昨年同様、地域のくらしを基本として、サブテーマに「これからの地区センター」を新たに加えた。応募者が興味を持つコミュニティについて、その核となる地区センターを、現況や従来型にとらわれず自由に描いてもらった。県大会予選で選抜された1作品が全国選手権大会(連合会審査)に進み、1次審査でベスト8を選出。8校から提出されたプレゼン動画の最終審査を経て、各賞が決定された。審査委員長は、片山和俊東京藝術大学名誉教授が務めた。
特別賞を受賞した同校の作品「SAKAの町の地区センター」は、八尾町上新町を舞台に、坂が多い街並みの傾斜を生かした開かれた空間を創出。全天候型の屋根を設け、中心に広場を配置した。「おわら風の盆」の踊りの練習や披露の場として、また、シーズン以外はイベント会場として活用してもらう。2階建ての建屋には、行政機関の事務所や多目的コーナー、談話コーナー、芝生コーナーを設けた。足湯も設置し、疲れを癒す憩いの場を設えた。
なお、今回の生徒5名は3月で卒業し、いずれも就職。2名が設計関係、3名が建設会社で施工管理の仕事に就く。