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建通新聞社(神奈川)
2020/02/03

【神奈川】河道掘削等に191億 多摩川緊急治水対策PJ

 多摩川流域の今後の治水対策を盛った「多摩川緊急治水対策プロジェクト」がまとまった。2024年度までのおおむね5年間、関東地方整備局や神奈川県、東京都、川崎市など関係機関が連携し、社会経済被害の最小化を目指す内容。河川対策の全体事業費を約191億円とし、河道掘削や堤防整備、樹木伐採などを行っていく。
 昨年10月の台風19号によって甚大な被害が発生した多摩川で、流域の関係機関が「被害の軽減に向けた治水対策(河川における対策)」「地域が連携した浸水被害軽減対策(流域における対策)」「減災に向けたさらなる取り組み(ソフト対策)」―を進めるもの。
 このうち、河川対策としては、河道の土砂掘削や樹木伐採による水位低減(河道掘削約198万立方b他)、流下阻害の横断工作物(大丸用水堰)の改築、世田谷区玉川地区の堤防整備(約0・5`)、既存ダムの洪水調節機能強化に取り組む。全体事業費約191億円の内訳は、災害復旧約28億円、改良復旧約163億円としている。
 浸水被害の軽減に向けては、流出抑制施設の整備、既存施設(建設中の五反田川放水路)を活用した雨水貯留、下水道樋管などのゲート自動化・遠隔化、移動式排水設備(排水ポンプ車など)の整備、土のうをはじめとする備蓄資材の配備などに努める。自治体と施設管理者らの連携の下、対策を検討し、実施に移すことになる。
 ソフト対策では、主な取り組みメニューとして、自治体との光ケーブル接続、簡易型河川監視カメラの設置、多機関連携型タイムラインの策定・運用、要配慮者利用施設の避難確保計画作成の促進などを挙げている。
 治水対策プロジェクトのとりまとめを担ったのは、神奈川県や川崎市、東京都、東京都の沿線区市、気象庁東京管区気象台、京浜河川事務所。
 関東地方では多摩川の他、三つの水系についても緊急治水対策プロジェクトがまとめられ、取り組みが始まる。対象は入間川流域(事業費約318億円)、那珂川(同約521億円)、久慈川(同約334億円)。このうち、久慈川水系の県管理区間(常陸太田市、常陸大宮市、大子町)では、国が権限代行によって河道掘削や堤防整備などを進めていく。

提供:建通新聞社