横浜市は1月29日発表の2020年度当初予算案に総額4053億円の施設等整備費を盛り込んだ。新市庁舎や新市民病院の完成、横浜環状北西線の本線開通に伴い、前年度比11・1%の減。小中学校の建て替えで新たに6校の基本構想、市営住宅の建て替えで新規の基本設計をスタートさせる他、消防本部庁舎の新築、横浜美術館と横浜みなとみらいホールの大規模改修などで工事を発注する。旧上瀬谷通信施設の跡地利用で新たな交通や公園整備の設計などに着手したり、昨秋の台風で被害を受けた港湾施設の復旧経費を積み増したりする。東部方面斎場の設計や保土ケ谷工場再整備の計画策定、統合型リゾート(IR)の事業者公募・選定、新たな劇場整備の計画検討などにも取り組む。
会計別の施設等整備費は▽一般会計=2016億円(18・9%減)▽特別会計=562億円(22・2%増)▽公営企業会計=1474億円(8・6%減)―の内訳。一般会計と公営企業会計が新市庁舎や新市民病院、北西線の反動で前年度を割り込む一方、特別会計については新本牧ふ頭の整備の進捗を受けて前年度を上回った。
予算の全体規模は▽一般会計=1兆7400億円(1・2%減)▽特別会計=1兆2696億円(4・4%減)▽公営企業会計=5963億円(3・1%減)―の総額3兆6060億円(2・7%減)となっている。
―消防本部庁舎新築、横浜美術館大規模改修など工事発注へ―
小中学校の建て替えは17〜19年度の3年間に3校ずつ対象校を選んで基本構想の検討や設計を順次実施。第3期教育振興基本計画(18〜22年度)に基づいて、20年度から対象校の選定数を6校に倍増させる。17年度選定校のうち上菅田小と汐見台小の2校の工事、19年度選定校の▽二俣川小▽万騎が原小▽瀬谷小―の3校の基本設計などを含め、総額25億0600万円を予算化する。
市営住宅の建て替えは19年度に瀬戸橋住宅で基本設計を始めるとともに、中村町住宅と洋光台住宅の基本計画を練って基本設計に備えていた。ひかりが丘住宅の住戸内改善設計・工事などとともに、市営住宅整備の関係で総額29億3900万円を確保する。
工事発注に向けて消防本部庁舎の新築で1億1600万円(工事)、横浜美術館大規模改修で2億5800万円(実施設計、工事入札手続きなど)、横浜みなとみらいホール大規模改修(工事など)で1億0200万円を計上する。
―上瀬谷の新たな交通、公園で設計 港湾施設復旧費を積増し―
旧上瀬谷通信施設の跡地利用では、今年1月に全域の市施行区画整理、瀬谷駅を起点とする新たな交通(上瀬谷ライン、22年度事業着手予定)、公園(23年度以降整備予定)のそれぞれで環境影響評価手続きを始めた。20年度は市施行区画整理の実施設計などで10億2100万円、上瀬谷ラインの測量設計などで10億1900万円、公園の基本設計などで2億円を見積もった。
昨秋の台風で被害を受けた港湾施設などの復旧は、まず19年度12月補正予算で金沢水際線護岸のブロック製作の一部経費など約36億円を計上。19年度2月補正予算でも別途37億円を計上する方針だ。さらに20年度当初予算で54億円積み増しし、総額約127億円を投じて復旧を加速させる。
東部方面斎場の整備は基本設計などに1億6100万円、保土ケ谷工場の再整備は整備計画の策定や事業手法の検討などに1億7300万円、IRは事業者の公募・選定や区域整備計画の策定に2億2000万円、新たな劇場整備は基本計画の検討などに2億円を充てる。公園整備の一環で三ツ沢公園球技場の改修に向けた検討も進める。
提供:建通新聞社