平成30年9月の台風21号で倒壊した京都市北区の平野神社の拝殿について、倒壊前の原形に再現する工事に着手することが分かった。
西大路通沿いの平野神社(京都市北区平野宮本町1、敷地面積2万3356・20u)に建つ拝殿は、京都府指定有形文化財(平成26年指定)。
拝殿は、桁行二間、梁行一間、東を正面にして建つ。平面は16尺四方の吹放とし、四周に高欄付切目縁が廻り、正面と背部には木階(きざばし)を設ける。W造平屋建、延23・50u(建築面積54・14u)。
屋根は、檜皮葺、入母屋造りで、妻飾りは木連格子とし、懸魚を釣る。
内部は、床は拭板敷で、天井は折上小組格天井。
明治時代の修理工事や昭和9年の室戸台風の被害による屋根葺替え等の修理は行っているものの、構造形式の大きな改変は見られない。
折上小組格天井など随所に洗練された意匠を持ち、江戸時代前期の神社拝殿として歴史的価値は高い。
台風21号の強風で柱の根継ぎ部分から北側へ倒壊した。柱は6本とも完全に破断、小屋梁は損傷がなかったが、化粧桁などが破損し、檜皮葺の屋根、高欄なども損傷した。
拝殿の再現工事では、再利用材も活用する。建築基準法の適用除外の指定を受ける。
諸手続きを経て、令和2年4月に工事着手し、令和4年3月の工事完了を目指す。