名古屋市住宅都市局は1月27日、都心部の指定容積率を法令上限の1300%までに引き上げるための検討で、制度概要案をまとめた。名古屋駅東側と栄駅周辺部の指定容積率(地区計画基準容積率)が1000%のエリアを1300%に変更する他、名古屋駅西側と錦通・広小路通沿道、栄駅周辺部の南北に位置する久屋大通沿道地区は現800%を1000%に変更する。関連する都市計画素案の縦覧手続きは、2月7日に開始するとともに、2月9、12、17日に説明会を開く。今後は5月に都市計画案の縦覧手続きを行い、8月ごろの都市計画審議会に諮る。2020年内の都市計画決定と地区計画条例改正を目指す予定だ。
リニア中央新幹線の開業に向け、都心部は名古屋大都市圏の中心部にふさわしい都市機能の増進と土地の高度利用を目指す必要があると判断。指定容積率を見直すとともに、地区計画により、一定の要件を満たす開発を市が認定、変更後の指定容積率を上限に圏域の中心部に必要な誘導用途の導入や公共貢献などに応じて容積率を緩和する。緩和容積率は誘導用途分の容積率の1・5倍が上限。
対象区域は、都市再生緊急整備地域とその外周で、現在の指定容積率が500%以上の区域。都市計画道路笹島線を延伸整備する区域は、現指定容積率が500%未満の区域もあるが、対象区域に入れている。
現指定容積率に対して、300%上乗せするのは名古屋駅、伏見駅、栄駅の周辺で各拠点の中心が対象。200%上乗せは、各拠点の中心と一体的に土地利用を図る名古屋駅西、久屋大通駅、矢場町駅の周辺の他、各拠点をつなぐ広小路通・錦通沿道、笹島線を整備する区域とした。それ以外の区域で、にぎわいを面的に広げる区域は100%上乗せする。ただし、道路など都市基盤の整備水準が低い区域や、住宅が多く高度利用による住環境の影響が懸念される区域などは除外区域とする。
緩和要件では、100%以下の容積率緩和で、低層階店舗などの誘導用途導入や緑化などの比較的簡易な要件を設定。歩行者回遊性の向上と面的なにぎわいの形成を支援する。100%超の容積率緩和では、広域・拠点的な誘導用途の導入や公共貢献なども要件に加え、拠点性や国際競争力の強化を図る。
誘導用途は、劇場、美術館、MICE施設、イノベーション施設、ハイグレードホテル、高品質オフィス、低層階店舗(1階)など。公共貢献は、緑化率20%以上や地域冷暖房の整備、帰宅困難者対策、雨水流出抑制、空地の整備、敷地集約化などを例示している。
提供:建通新聞社