元請けから専門工事業に支払われる労務単価は、約8割が県の標準単価を下回る契約―。県土整備部は23日、昨年10月に実施した「下請け取引アンケート」の結果をまとめた。労務単価は標準単価の3割程度しかみていない契約があったほか、法定福利費も回答者全体の2割が値引きを求められていた。今後、同部は調査結果をHP(ホームページ)に公開するほか、元請けの業界団体に改善を促す。
今回のアンケートは元下請け関係の実態を把握することが目的。同部は「できるだけ本音の部分が知りたい」(技術企画課)として、取引に影響しないよう元請け業者に直接聞き取りしないことを条件に実施した。
調査対象は鉄筋、型枠、とび、鳶土工の各技能士団体に所属する会員47社。うち21社が回答。調査票によって、労務単価の契約状況や元請けによるしわ寄せ行為など、元下請け間の細かいやりとりも尋ねた。
労務単価の鉄筋は地域によって格差があり、東部では県標準単価の70%程度の契約、西部は100%以上だった。型枠、とびは同30%程度の低水準も見られ、とびの土木工事は比較的高い水準だったが、建築は標準を下回った。
また、法定福利費は全体の2割で値引きを迫られており、回答者からは適正な支払いを求める声が多く寄せられた。このほか追加工事の全額負担や、工事完成後にあらためて値引きを要求されるケースもあった。
同部は対応について、「元請けを中心とした団体との意見交換会や経審説明会など、あらゆる機会を通じて契約ルールの順守を周知したい」(県土総務課)と説明。今後、元下請け契約の改善に力を入れる。
日刊建設工業新聞