福知山市がPFIで計画するつつじが丘・向野団地建替事業について、今後のスケジュールなどが明らかになった。
昨年の12月議会において、野田勝康議員のPFIによる市営住宅つつじが丘団地、向野団地建替事業についての質問に大橋一夫市長が答弁した。
大橋市長は「今年度は、建設予定地のつつじが丘団地の用地整理のための公共嘱託登記を実施している」と述べ、今後の予定について「来年度に事業者選定支援業務を発注し、令和3年度には事業者決定を行い、令和4年度からつつじが丘団地内にあるグラウンドを利用し、まず第1期棟を建設する計画。第1期棟を令和5年度に完成させたのち、第2期棟建設予定地にある住宅の入居者を第1期棟に住み替えてもらう。その後、第2期予定地の当該住宅を解体し、第2期棟の建設を開始する。第2期棟を令和7年度に完成させたのち、つつじが丘団地の残りの入居者及び向野団地の入居者を第2期棟に住み替えてもらう。入居者の負担軽減のため、一度の住み替えで完了する計画。現段階では、余剰地整備も含めて令和9年度に完成予定」と見通しを示した。PFIの導入理由について「一般にPFIは、維持管理、運営部分であるオペレーションを含めた事業とするが、平成29年度に調査業務を行ったものの、事業規模が小さく採算が見込めないため、オペレーションを含めなかった。しかしPFIで発注することで事業者による設計、建設、入居者移転などによる工期短縮が図られる。また民間事業者のノウハウなどによる工事費の縮減、従来方式とPFI方式を比べた工事費削減率のVFM(バリュー・フォー・マネー)が約8・3%期待できると平成29年度の調査で結果が出た」と答弁した。なお平成29年度実施の福知山市市営住宅つつじが丘団地ほか建替事業基本計画及び民活導入可能性調査は市浦ハウジング&プランニング大阪事務所(大阪市北区)が担当。
跡地は将来売却を予定
建設交通部長は、つつじが丘団地の空きスペース、更地となる向野団地の活用について「どちらの団地も売却を予定している。詳細は来年度に予定している事業者選定支援業務の中で設定していきたい」と方針を示した。このほか「第1期棟及び第2期棟の建物がそれぞれ完成するごとに、その段階で所有権を移転する予定」「導入可能性調査の結果によるPFI方式の建設費用について、地元業者3社から参考に見積りを徴取し、それを比較することで検証した」「令和2年度に予定している事業者選定支援業務の中で、再度ヒアリングを行い、VFMの再確認を行うとともに、乖離が生じやすい地質、土質、アスベスト等の調査業務を実施し対応していきたい」「現在の市営住宅の管理と同様に完成後の施設は市が直営で維持管理を行う計画」「事業者選定支援業務の発注方式は現在検討中」「現在、福知山市が発注した事業においては、地元企業のPFIについての実績はない。導入可能性調査の段階でPFIに興味を示され、参加したいという企業は何社があった。PFIでの市営住宅の建替えについて、地元企業から問い合わせもあることから、事業者選定支援業務の中でヒアリングなどを行い、実績なども確認していきたい」「事業費は高額となるが、事業内容としてみると、地元企業でも十分対応できる内容だと考えている。事業者選定支援業務において再度、地元企業の参画意向を確認するとともに、参入方法も検討したい」などと述べた。
財源・事業費について、財務部長は「試算ではPFI導入により約2億4000万円の縮減効果を見込んでいる。現時点では総事業費は38億円を想定している。財源は現時点での想定になるが、PFI法に基づく公営住宅等の整備事業費として交付される国庫補助の社会資本整備総合交付金を活用し、国の採択を受ければ事業費の概ね2分の1に充当していきたい。国庫補助制度の対象とならない事業費を含めた市負担の部分には、市債発行により公営住宅建設事業債の充当を予定している」と答弁した。
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耐用年数を超過し老朽化しているため、かねてから建替えを検討していたつつじが丘団地と向野団地について、つつじが丘団地に集約し建替える計画。事業手法はPFIを導入し、BT(BuildTransfer)方式を採用する。約150戸規模での建替えを想定している。
昨年の9月補正予算に、つつじが丘・向野団地建替事業として650万円を確保。集約先となるつつじが丘団地の境界確定のため、公共嘱託登記業務を進めている。
また令和2年度一般会計当初予算案で、つつじが丘・向野団地建替事業に4310万4000円を要求した。
つつじが丘団地は、敷地2・25fに昭和41〜44年度にかけて建設された市営73戸(簡平8戸、簡二65戸)と府営87戸の府市混在団地。
向野団地は、敷地1・65fに昭和36〜38年度にかけて建設された市営76戸(簡平60戸、簡二12戸、中耐4戸)の団地。