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建通新聞社
2020/01/23

【大阪】近畿管内の既存ダム機能強化の協議開始

 近年の水害の激甚化を踏まえ、ダムによる洪水調節機能を早期に強化するため、国土交通省近畿地方整備局管内の1級全10水系の河川管理者、ダム管理者、ダム参画利水者による協議の場が設置された。2019年12月に政府の検討会議でまとまった「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた基本方針」を受けてのもので、全国の地方整備局管内で初めての開催。昨年の台風19号による被害があった中でも「既存ダムによる洪水調節」が下流域の浸水被害を減らすのに効果を発揮したため、有効な治水対策の一つとして水系ごとにハード・ソフト一体的な対策に取り組む。近畿管内では今後、次の出水期前の5月を目標に、各水系ごとのハード・ソフト対策の工程表作成、治水協定の締結、大規模洪水時における操作要領の策定などを目指す。
 対象は新宮川、紀の川、大和川、淀川、加古川、揖保川、円山川、由良川、九頭竜川、北川の10水系。近畿地整の直轄ダムから府県、市町、電力会社、土地改良区などが管理するダムまで全91ダムがある。
 検討会議で国交省が示した説明によると、ハード対策は「ダム整備などにより新たな洪水調節容量を確保する」と位置付け、@建設中のダムの着実な整備A嵩上げなどのダム再生Bダムによる機能増強が難しい河川では調節池整備や河川堤防の強化など―に取り組む。
 近畿地整管内では次期出水期までの当面の取り組みとして@情報連絡体制の整備(緊急時の連絡体制構築、事前放流実施演習など)A水系ごとの治水協定の締結B工程表の作成C利水ダムの操作規定変更D大規模洪水時における操作要領の変更E国交省所管ダムの事前放流実施要領の策定―を進める。
 1月21日に設置された水系ごとの協議の場で会長に選出された近畿地方整備局河川部の豊口佳之部長は「近畿地整では全国の水系の先陣を切って協議をスタートする。次の出水期まで時間は限られているが、当面の取り組みやスケジュールについての認識を共有したい」と、協議に参加する河川管理者、ダム管理者、ダム利水者らに協力を呼び掛けた。

提供:建通新聞社