県 2020年度 総合評価改定案 若手技術者の活用や技術の継承、働き方改革に繋ぐ 県は2020年度から、一定の要件を満たした現場代理人の実績を、総合評価で加点評価する方針だ。主任(監理)技術者だけでなく現場代理人も評価することで、兼務ではなくベテランと若手の二人体制で現場運営することを促し、若手の活用や技術の継承、働き方改革に繋げることを目指す。20日に開かれた長崎県総合評価落札制度検討委員会(委員長・原田哲夫長崎大学大学院教授)で説明した。
県が過去5年間に実施した工事を見ると、現場代理人と主任(監理)技術者の兼務が9割。残りも、過去に主任技術者経験のある者が現場代理人として従事していた。建設産業では、高齢化・技術者不足が進んでいるが、技術者を新たに雇用しようにも企業負担が重く進まない。県では、こういった厳しい状況のほか、総合評価で配置予定技術者の工事成績評定の実績評価の対象を、主任(監理)技術者として従事した工事に限定していることも兼務が多い要因の一つと推測。現場代理人として従事した工事の成績評定も評価対象に加えることにした。
現場代理人の実績を評価するのは、工事の主任技術者になり得る国家資格の1級または2級を取得(土木一式の場合は、1・2級土木施工管理技士や1・2級建設機械施工技士、技術士・建設部門等)した技術者が、工期の半分以上従事した工事。代理人と技術者を両方評価することで、代理人を若手、主任技術者をベテランの二人体制で現場を運営し、技術の効率的な継承や適切な指導監督による工事品質の向上を促す。また、現場代理人のモチベーション向上や、それぞれの職務の効率化による長時間労働の是正・休日の確保など、働き方改革に繋がることも期待している。
JVその他構成員の実績も評価 特定建設工事共同企業体(JV)の実績評価も20年度から見直す。総合評価ではこれまで、代表構成員の技術者のみに実績を付与していた。しかし、工事の完成には各構成員の協力が不可欠で、県としても県内企業の技術力・地位の向上と、限りある人材の有効活用をJVの目的としていることを踏まえ、すべての構成員の技術者の実績(同種・類似工事の施工実績・工事成績評定)を評価対象とすることにした。ただし、施工難易度が高く、高度な技術力を要する工事(トンネル、橋梁上部工、ダム、海上の各工事)での、その他構成員の実績は評価対象にしない。これらの工事は、専門的な知識が必要で、その他構成員の役割が限定され、知識の習得が困難だと判断したためだ。
併せて、地域精通度を評価する管内の施工実績件数≠ノついても、代表構成員だけでなく、その他構成員の実績も対象に加える。これは高度な技術を要する工事でのJVも評価する。
20日の委員会では、工事成績評定やPC上部工の評価の見直しや、建築CPDの評価工種の追加などの説明も受け、いずれも承認した。県では今月23日の内部委員会で20年度の制度内容を確定。その内容は、2月5日から県内6カ所で開く入札制度説明会で事業者に説明する。