東京都財務局は、都の契約で使用する工事請負契約標準約款について、改正民法などに対応するため4月1日付で一部を改正する。契約不適合があった場合の発注者の権利として履行の追完請求権と代金の減額請求権を規定するなど、国の建設工事標準請負契約約款の改正に準じた形で見直す。4月1日以降に契約を締結する案件に適用する。
工事請負契約標準約款の改正は、債権関係の規定を120年ぶりに見直した改正民法の4月1日施行に伴うもの。
瑕疵(かし)担保責任については、瑕疵という用語を「種類または品質に関して契約の内容に適合していないもの(契約不適合)」に見直すとともに、契約不適合があった場合の発注者の権利として「履行の追完請求権」(受注者による補修など)と「代金の減額請求権」を規定する。
契約不適合があった場合に発注者(都)が履行の追完請求、損害賠償請求、代金減額請求、契約解除ができる期間については、引き渡し後2年(設備機器は1年)以内と規定する。
契約解除権に関しては、発注者、受注者ともに「催告解除」と「無催告解除」に分け、それぞれ解除事由を規定。このうち催告解除については、債務不履行の内容が軽微である場合、契約を解除できないことにする。
賠償請求権に関する見直しでは、発注者について「工事目的物に契約不適合がある時」「受注者が債務の本旨に従った履行をしない時」「債務の履行が不能である時」などと規定。受注者についても同様に「発注者が債務の本旨に従った履行をしない時」「債務の履行が不能である時」などと規定する。
この他、遅延違約金などの利率(現時点は5%で、当面の運用に変更なし)の根拠を明確化。契約保証金に代わる履行保証保険契約や保証会社の保証については、「契約の解除が破産管財人や管財人、再生債務者などからなされた場合でも保証されるものでなければならない」と規定する。契約解除に当たっては、これまでは受注者に排除措置命令または課徴金納付命令があった場合としてきたが、今後はこれら命令の対象とならない違反事業者についても契約解除と損害賠償請求の対象とする。
都では今後、国の動向を見極めつつ、設計等委託の契約約款と関係規定も順次見直していく。
提供:建通新聞社