岐阜県内の防災重点ため池で、決壊した場合の浸水区域内に住宅などがあり居住者の避難が困難となる恐れのある個人所有の「特定農業用ため池」の所有者や管理者について2019年12月末までに30市町村中23市町村が県に届け出を出したことが分かった。まだ届け出が出ていないのは、郡上市や美濃加茂市など7市となっている。
特定農業用ため池は、19年7月1日に施行した農業用ため池の管理および保全に関する法律で個人所有のため池に関して県に届け出を義務付けるとともに、所有者不明の池については市町村が管理権を取得できることとなっている。これに伴い各市町村が調査して県に届け出をしている。
届け出が完了してない市は前記の2市の他多治見市、瑞浪市、土岐市、中津川市、恵那市となっている。いずれの市も所有者の個別確認が取れず丁寧に対応していることなど、何らかの理由によるもので県は早期の届け出を呼び掛けている。届け出のあったため池については順次指定手続きを進める考え。
=防災重点ため池の浸水想定区域図未作成を支援= 岐阜県内のため池は、そもそもため池がない市町村を除いた30市町村で2228カ所確認されている。このうち池の下流に人家や国道などの重要な施設があり、何らかの理由で決壊などすると大きな被害が出るとされる防災重点ため池は1420カ所確認されている。さらに723池は浸水区域図が未作成となっており、19年度内には514池について作成する予定となっている。また20年度中には残る209池についても作成を完了するとしている。これに対し県は補助金で支援する他、ため池の定期点検の実施や監視カメラの設置などの管理を強化することなどの支援体制を整える考え。
またこれまでの点検で耐震不足の池が130池あり、現在までに53池の対策整備を進めている。今後は新たに設置した学識経験者やため池管理者、市町村で構成する岐阜県ため池防災減災検討会での意見を参考に耐震照査を進め緊急度の高い池から順次改修を進めていく考えだ。
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建通新聞社