東京都都市整備局は「防災都市づくり推進計画」の基本方針の改定案をまとめた。不燃化特区制度の活用や特定整備路線の整備といった事業の進展状況を踏まえ、これらの取組期間を5年間延長し、新たな目標を設定。延焼遮断帯の形成では、2030年度までに28ある整備地域内の延焼遮断帯形成率を75%に、2025年度までに特定整備路線を全線整備することを新たな目標に掲げる。市街地の整備については、不燃領域率70%以上の整備地域を25年度に半数以上、30年度に全地域とするとともに、重点整備地域(不燃化特区53地区)の不燃領域率を25年度までに全地域で70%、各地域で10ポイント以上向上させる。都民意見の反映手続きを経て年度内に基本方針を改定し、これを基に具体的な事業内容を盛り込んだ整備プログラムを20年度末に策定する。
新たな基本方針では計画期間を21〜30年度の10年間とし、地域ごとの状況や課題を踏まえつつ、今後10年間の防災まちづくりに関する目標を設定する。
延焼遮断帯の整備に関する方針については、「30年度までに骨格防災軸の形成率98%(17年度に96%)」「30年度までに整備地域内の延焼遮断帯形成率75%(17年度に65%)」「25年度までに特定整備路線を全線整備」の目標を設定。
これを実現させるため、延焼遮断帯の軸となる都市計画道路の整備を推進し、特に特定整備路線については生活再建支援などにより事業を着実に進める。道路整備に併せた防火地域の指定や都市防災不燃化促進事業の導入により、沿道建築物の不燃化・耐震化を促す他、沿道への戸別訪問を行って不燃化を働き掛ける。地区計画や市街地再開発事業といったまちづくりの手法も活用し、地域の防災性を向上させつつ良質な市街地を形成する。
市街地整備の方針としては、「25年度までに整備地域(全28地域)のうち不燃領域率70%以上の地域数を半数以上(16年度に4地域)」「30年度までに整備地域の全地域で不燃領域率70%以上」「25年度までに全ての重点整備地域の不燃領域率70%と、各重点整備地域の不燃領域率を16年度比で10ポイント以上向上」を目標に掲げる。
これに向け、防災密集地域総合整備事業に区市と連携して取り組む。整備地域では「新防火区域」の指定を引き続き進めるとともに、地域の状況に応じた敷地面積の最低限度の設定や、防災街区整備地区計画や地区計画の策定を行う。建ぺい率や道路斜線の緩和、まちづくり手法の活用や共同化などにより、建て替えを促進する。建て替えが進まない街区では、無接道敷地での建て替え促進や、木造住宅密集地域の改善を公共貢献とする都市開発諸制度の運用、空き家の除却といった施策を展開する。
提供:建通新聞社