京都市は14日、西京区総合庁舎整備基本計画案を明らかにした。
西京区役所と保健福祉センターを一体化した西京区総合庁舎を整備する計画。
現西京区役所庁舎(西京区上桂森下町25−1、RC造地下1階地上6階(塔屋1階)のうち2階。延4493・6u/昭和53年6月築、都市再生機構賃貸住宅併設)の有効活用を図りつつ、東隣の上下水道局西京営業所跡地(西京区上桂森下町27−1、敷地約1400u)とその南側の西京区役所立体駐車場敷地(西京区上桂森下町25−10、敷地約1300u)の敷地約2700u(用途地域は近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率300%)、高度地区は20m第3種高度地区)を活用し、2期に分けて新たな総合庁舎を整備する。
1期目は、上下水道局西京営業所跡地に新庁舎を建設する。現在の保健福祉センター別館(西京区桂艮町1−2、RC造5階建のうち2階。延1607・96u/昭和44年2月築、京都市市営住宅併設)の機能を統合する。
2期目は、都市再生機構との土地賃貸借契約期限(令和20年10月まで)を念頭に、現区役所の立体駐車場敷地を活用し、1期目で整備する新庁舎と一体となるよう、庁舎を増築する。1期目の庁舎整備から2期目の庁舎整備開始まで相当程度の期間が空くことになるため、区民のニーズや社会情勢の変化を十分に見据えた上で検討していく。
新庁舎のコンセプトは、@安心・安全を守る防災拠点となる庁舎A気軽に立ち寄れる交流を図る庁舎Bすべての人に優しく快適な庁舎。ユニバーサルデザインを採用。環境に配慮した庁舎を目指す。
機能は、@区役所・保健福祉センター機能A防災機能(▽大規模な地震等が発生した際も、構造体の大きな補修をすることなく、建物や設備を使用できるよう、区民等の来庁者や職員の人命の安全確保ができる耐震性能を備える▽災害時の停電や断水などのライフライン供給停止に備えて、電力、給水、排水などの機能を一定期間維持できるバックアップ機能を導入▽大雨等による万一の雨水の浸水対策として、地下に排水ポンプを設置し、必要最低限の設備室等に留める。電気室と非常用発電機室は十分な高さの階層に設置)B区民交流機能(▽区民交流ロビーを整備用地北側のエントランス周辺に配置▽区民交流会議室を配置)C利便性の向上(▽多機能トイレの設備にユニバーサルデザインを導入▽通路等の段差解消や適切な幅員の確保、スロープや手すりの設置などユニバーサルデザインを導入)D環境への配慮(▽太陽光などの再生可能エネルギーを活用。空調負荷を減らす高断熱化を図る▽設備機器は省エネにつながる高効率な機器を導入▽内・外装材に耐久性の高い材料を採用し、建物の長寿命化をはじめ、修繕・更新が容易な構造により保全コストの低減を図るなど、ライフサイクルコストに配慮した庁舎とする▽市内産木材のみやこ杣木の利用促進▽CASBEE京都のAランク以上を目標とする)。
新庁舎の規模は、1期目の約3700uと2期目の約4000uをあわせて、延約7700u(▽区役所機能(窓口・相談機能、保健福祉センター機能、執務室、会議室、倉庫等)3900u▽共通(廊下、階段、ロビー、エレベーター、トイレ、設備室等)3800u)を想定する。
1期目の庁舎は、北側にエントランスを配置するとともに、西側に現区役所や立体駐車場とアクセスできるエントランスを配置する。2期目の庁舎は、南側にエントランスを配置し、南北の双方向からアプローチでき、庁舎内部を通り抜けできるよう通路を整備する。
新庁舎のゾーニング案によると、窓口・相談エリアは、区民の利便性に配慮し可能な限り低・中層階に配置。職員が利用する諸室(会議室、倉庫含む)は上層階に配置する。共用部分のエレベーター、トイレ等は、2期目に整備する庁舎と一体化した際に概ねフロア中央に位置するよう配置する。
外構計画案によると、計画地北側の道路は、上桂地区バリアフリー移動等円滑化構想に基づく生活関連道路に位置付けられていることから、高齢者や障害者などが安全に移動できるよう、歩行空間の整備を図る。階段状となる建物形状を利用し、3階に設ける区民交流テラスや5階の屋上に緑化を採り入れる。近隣施設との擁壁は可能な限り撤去する。
高さ制限(20m)を基に、階数は地下1階地上5階建とする。日影規制や道路車線規制により、新庁舎の建物形態は階段状とする。景観等へも十分配慮の上、屋根をかけるなど造形的にまとまりがある形態を目指す。
1期整備の建物南面は、2期目の整備を行うまでの間、仮設で壁面緑化や目隠しルーバー等を設け、景観に配慮する。空調設備の屋外機等は、道路から目立たない位置に設置する。
1期目整備時の駐車場は、必要な駐車場を確保するため、現在の西京区役所立体駐車場を引き続き活用する。2期目整備時における駐車場については、区役所の周辺の状況等を踏まえ検討する。
駐輪場は、市自転車等防止条例に係る付置義務台数を遵守するとともに、来庁者や職員の利用状況を基に、設計の段階で台数を検討する。
1期目の庁舎整備に必要な事業費は31億4000万円を見込む。内訳は、工事関連費26億4000万円(設計費、工事費、上下水道局西京営業所の撤去費の合計額)、用地費3億4000万円(上下水道局西京営業所の用地費)、その他1億6000万円(基本計画、地質調査等の各種調査費用、移転費用等の合計額)。
事業手法については、分離発注手法、DBO(デザイン・ビルド・オペレート)手法、PFI手法の3手法について、京都市PFI導入基本指針に基づき、比較検討を行う。
2期に分割して総合庁舎を整備していくため、1期あたりの規模が小さく、民間事業者の創意工夫を生かす余地が少ないため、コストの削減効果が見込めず、またDBO手法及びPFI手法は、実施方針や要求水準の作成など発注までに時間を要し、建物が完成するまで整備期間が長期化することから、現時点では分離発注手法の採用を検討している。
整備スケジュールと概算事業費の算出、事業手法の検討など西京区総合庁舎整備基本計画策定業務は、公募型プロポーザルで選定し、東畑建築事務所(大阪市中央区)が担当。
1期目の予定地の上下水道局西京営業所跡について、上下水道局がアスベスト調査を実施済み。
今後のスケジュールによると、令和2年度から実施予定の設計において、基本計画に示した内容の具体化に向けた検討を行う。3年度前半頃にかけて設計を進める。3年度前半に上下水道局西京営業所の解体を行うとともに、3年度後半から新庁舎の工事等(各種手続き含む)に着手し、5年度の供用開始を目指して工事を進める。
なお文化市民局は、西京区総合庁舎整備について、令和2年度当初予算案に6810万円の事業費を要求した。予算が確保できれば、設計や地質調査などを行う。