高知県は、安全で強靱(きょうじん)かつ持続可能な水道の実現に向け、水道基盤を強化することを基本方針とする「水道ビジョン案」を策定した。安全、強靱、持続の観点八つの施策目標と20の実現方策を掲げ、それぞれ10年後の最終目標を設定した。
主な施策のうち、強靱な水道システムの構築に向けては、浄水施設、配水池、基幹管路などの耐震化を重要施策として対策を進める。耐震化計画策定率は19年度の85%から29年度には100%とする数値目標を掲げる。同様に浄水施設の耐震化率は29%→60%、配水池の耐震化率は63%→85%、基幹管路の耐震適合率は39%→55%と定めた。土砂災害、津波、洪水対策として、土砂流入防止壁、防水扉、自家発電設備の設置や水源施設の移設などの取り組みを進めることなども示している。
また事業継続の強化に向け、水道BCPの策定率を24年度には100%とする(19年度は6%)他、広域連携として災害時等連携時の資機材確保、災害時対応体制の構築といった方策を示している。
持続面では、重要施策として簡易ツールなどを活用したアセットマネジメントの導入、水道施設台帳の整備およびシステム化の実施を掲げており、24年度に水道施設台帳整備率100%、29年度に施設更新計画策定率100%を目標としている。また広域連携として、市町村の意向を尊重しつつ経営統合を含めた広域化の検討、水道業務の受け皿となる支援組織の検討・活用、技術力確保のための研修会実施などの取り組みを示している。
安全面では重要施策として、水安全計画の策定とクリプトスポリジウム対策による浄水処理の適正化を掲げており、ともに24年度の100%完了を目標としている。また給水装置工事事業者の事業実態の把握が十分でない現状を踏まえ、更新制導入による資質向上に取り組む方針。
県内市町村の水道事業は、節水意識の向上や人口減少により給水量や収益が減少する一方、施設の老朽化が進み更新に多くの費用が掛かると見込まれる。そのため県は、水道ビジョンの策定を通じて水道事業体や水道関係者が広域的に連携しつつさまざまな取り組みに挑戦できる体制を確立し、将来にわたり持続可能な水道の構築を目指す。今後は、パブリックコメントを実施し県民からの意見を反映させた後、3月に正式な水道ビジョンを公表する。
提供:建通新聞社