神奈川県企業庁は、相模貯水池堆砂対策の事業計画案をまとめた。現行計画が2019年度で終了するため。新計画は29年度までを期間とし、浚渫(年間土砂量15万立方b)や河床のポケット化、流入支川の保全に取り組む。概算事業費は約189億円。国土交通省の承認を経た、20年4月に新計画による事業を開始する方針だ。
現行計画「相模貯水池大規模建設改良事業」の期間は1993年度から2019年度。18年12月末までに約552万立方b(浚渫量約533万立方b、民間砂利採取量約19万立方b)の土砂を貯水池から除去。これらの取り組みによって、目標に掲げた「基準地点(桂川橋)における堤防余裕高1・2bの確保」を達成。「事業終了時に有効貯水容量4000万立方bを確保」もおおむね達成している。
20年度に開始する新計画の目標は、現時点で実施可能な最大限の取り組みとして年間15万立方bの浚渫を掲げた。主な対策として講じるのは、船団による浚渫、河床のポケット化、流入支川の保全。
浚渫を通じて堆砂による貯水池内の河床上昇を防止し、上流域の災害防止を目指す。貯水池上流の基準地点(桂川橋)で1・2b以上の堤防余裕高を確保する。また、現行の浚渫船団と陸揚げ施設を活用して有効貯水容量の減少を最大限に抑制する。現時点で想定する減少抑制量は約150万立方b(20〜29年度の10年間)。
河床のポケット化は、現行計画に基づく取り組みで有効な堆砂対策であることを確認している。湖面部へ流入する土砂量の割合を約30%低下させるなどの効果があったため、新計画でも継続することになった。対策箇所は桂橋の下流側。
流入支線の保全としては、秋山川と沢井川の河床維持を行う。沢井川の一部は、中央本線の建設に伴って1901年ごろにトンネル河川(疎水隧道)となった。相模ダムの完成後は、低下した疎水隧道の能力を補うために余水吐トンネルを建設している。
今後、保全対策として疎水隧道下流側の浚渫を行うとともに、沢井川余水吐トンネルの通水能力を向上させる改良工事を実施し、疎水隧道の建設当初の通水能力を確保する。これまでに基本的な改良工法を検討しており、新計画の下で詳細な検討と改良工事を実施する予定。
計画の共同事業者は県企業庁の他、横浜市水道局、川崎市上下水道局、横須賀市上下水道局、県県土整備局となっている。
提供:建通新聞社