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北陸工業新聞社
2020/01/07

【石川】谷本知事年頭会見/「二の丸御殿」復元へ基本方針/新たな歴史資料が見つかる/内装など詳細に記録/前田家大工が作成 

 谷本正憲知事は6日、年頭の記者会見を開き。県が復元を目指している金沢城二の丸御殿に関して、信頼性が高い歴史資料が、金沢市立玉川図書館「加越能文庫」の中から見つかったことを報告し、新年度に復元に向けた基本方針の策定に入る意向を示した。
 この資料は、前田家の大工「井上庄右衛門」が、文化5(1808)年の「文化の大火」により焼失した二の丸御殿を、文化7(1810)年に再建した際に記した仕様書「二之御丸御殿造営内装等覚及び見本・絵形」(4冊組)で、再建翌年の文化8(1811)年に作成された。仕様書には、御殿の内装・外装の仕様の説明、唐紙の実物、飾り金具の図面が記載されている。
 知事は会見で、御殿内の「表向」(藩主が藩政を司る儀礼の場)、「御居間廻り」(藩主の日常生活の場)、「奥向」(城に居住する女性たちの生活の場)の3エリアのうち、「御居間廻り」と「奥向」は「文化の大火」の再建後、頻繁に改変されており、絵図による再建時の姿と明治期に入って尾山神社側から鼠多門越しに撮影された二の丸御殿の屋根が映る古写真とを比較したところ「御居間廻りの2階部分には一部一致しないことが確認された。復元の議論には時間を要する」と説明した一方、ほとんど改変されていない「表向」について「金沢城二の丸御殿調査検討委員会において最終的なとりまとめをできるだけ早い時期にいただきたい。そこで改変の小さい表向の復元整備の可能性がさらに高まったとすれば、表向の中でも優先的に復元すべき部分の検討も含め、復元整備の前提となる基本方針に新年度に着手したい」と意欲を示した。
 1881(明治14)年に焼失した、二の丸御殿(建坪約3200坪、約1万600平方メートル)の復元を巡っては、その可能性を探る「金沢城二の丸御殿調査検討委員会」(委員長/藤井讓治京都大学名誉教授・県立歴史博物館長)が御殿内の表向について、「江戸後期を通じてあまり変化がなく、外観立面図が残るなど復元整備の可能性は大きい」と指摘していた。

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