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建通新聞社(中部)
2019/12/25

【愛知】アジア大会選手村 部分的後活用も可で調整

 愛知県と名古屋市は、アジア競技大会における選手村敷地の民間事業者による後利用事業で、敷地の一括利用だけでなく、部分的な敷地後利用も認める考えを明らかにした。約20fと広大な土地を民間事業者単体で一度に開発するのは難しいとの事業者意見を踏まえた。2020年度に開始する事業者公募で、後利用事業者を複数選定した場合、アジア大会で必要な機能を持つ事業者の施設整備を先行させ、大会後のまちづくりにつながる施設は大会後に着工するといった方法も採用できることとなりそうだ。後利用事業者を同時に複数選定することで、統一的なまちづくりや後利用事業者の意向を踏まえた基盤整備も可能になる。
 県・市は12月23日、アジア大会後利用基本構想案をまとめ、名古屋市は都市活力向上特別委員会、総務環境委員会に提示した。委員会での質疑を踏まえ、建通新聞が取材したところ、部分的な敷地後利用を認める方向性で検討していることを明らかにした。同基本構想案は、20年1月下旬にもパブリックコメント手続きを開始し、3月末までに基本構想を策定・公表する見込み。
 現名古屋競馬場の敷地面積は約20・7f。誘導する機能として、「にぎわい」「学び」「憩い」「住まい」を設定した。にぎわい空間は商業施設や体育館・アリーナ、場外馬券売り場、学びは学校施設、留学生宿舎、研修・合宿施設、憩いは公園、広場・緑地、ジョギングコース・ウオーキングコース、住まいに集合住宅(分譲・賃貸)、一戸建て住宅(分譲)、高齢者向け住宅といった施設の導入を想定する。
 後利用施設は▽選手村施設としてそのまま活用▽部分的に活用▽選手村施設として活用せず、大会後の整備する―の3種類の施設が考えられるとする。限られた時間の中で大会施設整備を進めるため、後利用施設の計画を先行させ、計画された集合住宅や商業施設、学校施設などを大会組織委員会が民間事業者から借りるといった手法の採用を視野に入れている。整備順序として、事業者が後利用施設を計画した後、組織委員会が選手村施設計画(仮設を含む)を決める。その後、事業者が選手村として活用する施設を整備するとともに一部はスケルトン整備を行う。スケルトン整備完了後、組織委員会が選手村仕様の追加工事を行う他、仮設の選手村機能を整備する。アジア競技大会開催後、組織委員会が選手村施設を撤去、スケルトン整備の施設を事業者が追加工事を行うスタイルをイメージする。
 県・市が行う都市基盤整備は▽骨格的な道路▽計画地の東西を結ぶ緑や歩行空間のネットワーク▽公園など(憩いや災害時の防災機能を兼ね備える空間)▽雨水貯留施設―。

提供:建通新聞社