川崎市は、「若い世代が集い賑(にぎ)わうまち」の実現に向けたハード面の支援について、ちどり公園(川崎区千鳥町)の有効活用を前提としたサウンディング型市場調査を実施し、その結果を公表した。それによると、調査対象のスケートボードやBMXなどに関わりがある事業を行っている団体からは、「スケートボード施設に常設の観覧席を設置したい」「公園全体を再整備する必要がある」「魅力ある施設整備をするためには特定のコンテンツに特化することが望ましい」などの意見・提案が出た。事業手法についても、「公園の一部を借り受けて民間事業者で整備し、その他を川崎市で整備する手法」や「整備自体は公園全体を一括で行い、一部の整備費用を川崎市に負担」してもらう手法などが提案された。
川崎市では、提案内容を精査した上で、若者文化に関わる地域人材や周辺企業などと調整しながら、ちどり公園の有効活用を前提とした事業スキームや整備するコンテンツ、整備・運営手法、整備期間などを具体的に検討し、公募条件などの詳細を整理した上で、2020年度以降の事業実施に向けて取り組みを進める予定だ。
川崎市は、東京2020オリンピック競技大会を契機として、若者に人気があり、市内で盛んであるスケートボードやBMXフリースタイルなどのエクストリームスポーツ、ストリートカルチャーを、まちづくりに生かそうと取り組んでいる。今年11月には、ハード面の具体的なコンテンツやソフト面の取り組みの方向性、今後おおむね10年間のスケジュールなどを明記した、「若者文化の発信によるまちづくりに向けた環境整備などに関する基本計画」を策定。ハード面では、ランドマーク的な施設をまず市内に1カ所整備する考えで、ちどり公園を候補に挙げた。整備には、民間のノウハウや資金を活用する考えで、2020年度以降に共同事業者を選定し施設整備を行っていくとしている。
ちどり公園は、海底トンネルの千鳥町側の入り口上部に整備された臨海公園。広さは約4万平方b。樹木に囲まれた緑豊かたな公園で、園内には高さ約7bの展望台がある。
サウンディング調査の個別対話での主な提案内容は次の通り。
【施設の整備について】
▽スケートボード施設に常設の観覧席を設置したい▽イベント開催時には観客席を増設できるスペースを確保する必要がある▽展望台は、スケートボードやBMXなどで使えるように改造することが望ましい▽開業後も、魅力ある施設であり続けるため、施設などの更新は必要である▽若者文化以外の集客施設の整備も併せてできた方が良い▽施設を魅力あるのものにするためには、公園の一部だけでなく、公園全体を再整備する必要がある▽トイレは改修する必要がある▽駐車場は拡充する必要がある
【事業手法について】
▽公園の一部を借り受けて民間事業者で整備し、その他を川崎市で整備する手法が良い▽整備自体は公園全体を一括で行い、一部の整備費用も川崎市に負担してもらいたい▽指定管理者制度を活用する▽公園の一部を民間事業者に貸し付け、施設を整備・管理運営する場合、土地の貸し付け料は無償でないと経営は成り立たない
提供:建通新聞社