名古屋市は、建て替えを計画している新市民会館に設ける新たな劇場(ホール)の適正規模として、新・大ホールで2000〜2200席、新・中ホールで1300〜1500席、第3のホールで800〜900席を想定する施設構成案をまとめた。同案は、12月16日に開催した「市民会館の整備検討懇談会(座長=黒田達朗・椙山女学園大学教授)」の第4回会合で審議。今後の整備検討スケジュール案とともに了承を得た。
新たな劇場の施設構成案によると、新・大ホールは、音響のバランスに配慮したプロセニアム型「音楽」主目的ホールとして、現・大ホール2291席とほぼ同規模となる2000〜2200席を想定する。基本コンセプトは聴くホール=B
新・中ホールは、客席からの視認性に配慮したプロセニアム型「邦舞・洋舞」主目的ホールとして、現・中ホール1146席を上回る1300〜1500席を想定する。基本コンセプトは観る・魅せるホール=B
さらに両ホールとは別に、演劇利用を主目的とした第3のホールの導入も検討。芸術創造センターや青少年文化センターとの住み分けを考慮し、800〜900席の規模を見込む。大ホールと同様に、将来需要に対応可能な汎用(はんよう)性、拡張性を確保する方向。基本コンセプトは体感するホール=B
ホール以外の施設では、あらゆる人々の交流結節点≠ニなるよう、リハーサル室、練習室、フリースペース、カフェ、レストラン、公園機能などの導入を想定する。
各新ホールの適正規模は、現市民会館のホール施設の利用ジャンルと利用規模、利用者種別と利用規模をそれぞれクロス集計(16、17年度の2カ年累計)した上で、過去3年間の愛知県内文化施設の利用率、アンケート調査の結果などを考慮・分析し算出した。
委員らからは「限られた空間でリハーサル室とホール、ホールとホールとの遮音性をしっかり考える必要がある」「(立地場所の検討は次回の会合での審議事項だが)現敷地の広さを考えると三つのホールがどのように使いやすく配置されるのかイメージできない」などの意見があった。
新たな市民会館整備の検討に当たっては、有識者による検討懇談会を設置。これまでに、基本的なコンセプトや建て替えを前提として意見を交換していく方針を決定している。次回、20年度に予定する第5回会合で、新たな劇場の立地場所、管理運営主体などを審議し、第6回会合に基本構想(素案)を諮る予定。
併せて、新たな劇場整備に向けた計画策定を進め、20年度中に基本構想を策定・公表。新たな劇場のミッション、位置付け・役割、劇場の規模・機能、立地条件、管理運営主体を示す。引き続き、基本計画で整備に必要な諸条件を整理(施設・管理運営)、整備計画で事業者公募に向けた要求水準書の策定などを含め、具体的な整備計画を策定する。
既存の市民会館の規模は鉄骨鉄筋コンクリート造地下2階地上6階建て延べ2万8245平方b。フォレストホール(大ホール)とビレッジホール(中ホール)、リハーサル室、会議室などを備える。所在地は中区金山1ノ5ノ1。
提供:建通新聞社