神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市、神奈川県内広域水道企業団の5事業者は、水道施設の共通化・広域化を視野に入れた検討を進めている。有識者を交えた検討会(設置期間11月〜2021年3月)などを通じ、「これからの時代にふさわしい」水道システムの構築を目指す。
水道事業は、人口減などに伴う水需要の減少が見込まれる一方で、施設の大規模更新が迫るなどの課題に直面。各事業者が単独で対応するには限界があり、近隣事業者との連携が不可欠とされている。県など5事業者はこれまでも、水道事業の将来の在り方などについて検討を進めてきた。
10年8月に取りまとめられた「神奈川県内水道事業検討委員会報告書」では、5事業者が共同で進める取り組みの方向性として、▽水質事故時の対応の強化・水道水質のさらなる改善▽水道施設の共通化・広域化―が示された。このうち、水質関連については、15年4月に5事業者が共同で「広域水質管理センター」を開設し、水源に関わる水質検査と水質事故時への対応一元化を実現させている。
今回設置した検討会は、共通化・広域化の検証と、これからの時代にふさわしい水道システム構築の方向性、課題整理とその解決策を検討内容としている。構成員は県と3市の水道事業管理者、神奈川県内広域水道企業団の企業長、水道事業や河川行政に関する有識者など。
初会合では、「5事業者が利害を超えて水道施設の共通化・広域化を進める取り組みは全国的にも例がなく、非常に興味深い検討会」「昨今の水害の発生状況を踏まえると、利水事業だけではなく治水対策にも効果を生み出すべきであり、双方の最適解を示すことができれば実現性は高くなる」といった意見が有識者から出たという。
20年1月下旬には第2回会議を開く予定。
提供:建通新聞社