京都市は6日、国に移転をはじめとした有効活用の検討を要望している伏見区竹田の京都拘置所及び京都運輸支局について、敷地活用案(素案)をまとめ、市会総務消防常任委員会に素案を報告した。素案は20日からパブリックコメントを開始する予定。その後、来年3月頃に活用案を策定する。
昭和36年に現在地に移転した京都拘置所(伏見区竹田向代町138。敷地2万6574・43u/用途地域は工業地域(建ぺい率60%、容積率400%(工場、研究施設又は事務所以外は200%)、高さ規制無し。法務省管轄)と、昭和38年に現在地に移転した京都運輸支局(伏見区竹田向代町37。敷地1万9856・97u/用途地域は工業地域(建ぺい率60%、容積率400%(工場、研究施設又は事務所以外は200%)、高さ規制無し。国土交通省管轄)の両施設の敷地は、合わせると約4・6fあり、都市部では確保しがたい広大で希少な土地であること、市が企業集積を促進する「らくなん進都」の産業集積ゾーンにあることなどから、市は両施設の移転をはじめとした有効活用の検討を国に要望している。
素案は、地域住民と産学公のパートナーシップによるまちづくりを推進するらくなん進都整備推進協議会や、各経済団体、学識者、地元自治会等から意見を聞くなどしてまとめた。
活用案の検討において、両敷地の可能性について「京都産業のみならず、わが国の産業が社会的課題の解決に寄与し、世界をリードする新たなイノベーションを創出する極めて重要な拠点となる可能性を秘めている」と分析。活用の方向性・望ましい導入機能について、「ものづくり企業の事業拡大の受け皿となる機能」(ものづくり企業の事業拡大の受け皿を提供し、らくなん進都内での企業の成長の加速を図る)、「企業立地の決め手となる付加価値・魅力を創造する機能」(国の研究機関や特色ある研究施設の誘致、働きやすい環境の充実等で企業立地の魅力を創造)、「らくなん進都のイメージを発信するシンボリックな企業の誘致」(先端技術等を有するものづくり企業の集積を促進するシンボリックな企業誘致を図り、らくなん進都のまちづくりを牽引)、「企業のイノベーションによる成長をサポートする機能」(高い技術を有する多様な企業が交流することにより、新たなイノベーションを起こす機会を創出するなど、「産業交流」をコーディネートする機能や、特色・個性・技術のあるスタートアップ期の企業を育成するインキュベーション施設の導入などにより、企業の成長をサポート)を設定。
活用の視点として、@両敷地の有効活用が「ものづくり都市・京都」の次代の中核を担う企業の多様なニーズに応えることのできる産業用地として活用A敷地のポテンシャルを最大限に活かすため、民間による活用を基本とするBソフト機能として、海外への販路開拓支援や高度な人材の育成機能、多言語サイトによる情報発信も導入することが望ましいの3点を挙げ、これに災害時の屋内の避難所機能等も加えた。
誘致候補施設の想定例として、▽らくなん進都内外の企業の新規拠点(オフィス、本社機能など)▽融資などの支援を受けられるインキュベーション施設▽試作開発機器や3Dプリンター等を備えた製造業向けコワーキングスペース▽国の研究機関、特色ある民間研究施設▽レンタルラボ▽京都、近畿、日本に新たな知とノウハウをもたらす内外企業(AI、IoT、ビッグデータ、ロボット等の分野で活躍する企業)▽インキュベーション運営や投資ノウハウ等を有する海外のインキュベーション施設▽コワーキングオフィス等▽学会等の研究会や、企業の新製品発表・プレスリリース発信、セミナー等が行われている産業交流施設▽インキュベーション施設やコワーキングオフィス▽大学発ベンチャー等のスタートアップ支援企業を挙げた。