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建通新聞社(中部)
2019/12/06

【愛知】名岐道路 対応方針決定 全線立体構造で

 国土交通省中部地方整備局は12月5日、社会資本整備審議会道路分科会の2019年度第2回中部地方小委員会(委員長・中村英樹名古屋大学大学院教授)を開き、名岐道路の対応方針を決定した。地域住民や道路利用者などへのアンケート、地方公共団体や関係団体などへの意見聴取を経て、全線立体構造の専用部整備案を採用。今後、環境影響評価などの手続きに入り、新規事業採択を目指す。
 これまでの事例から都市計画や環境アセスの手続きに要する期間を考えると、事業採択までには3年程度の時間が必要。順調に進めば22〜23年度には、名岐道路の整備が動き出すことになりそうだ。
 名岐道路は、愛知県一宮市と岐阜市を結ぶ地域高規格道路として計画。今回の対応方針決定の前段となる計画段階評価は、名古屋高速一宮中インターチェンジ(IC)〜東海北陸自動車道一宮木曽川IC間の延長約6`を対象としていた。
 同区間が縦断する地域は、名古屋都市圏の中でも特に人口が集積する地域であることに加え、航空宇宙産業クラスター形成特区の指定を受けた航空宇宙産業や繊維産業などが盛んなエリア。また、年間来訪者が100万人を超える観光地が点在している。この中で、一宮ジャンクション(JCT)〜一宮IC間を中心とする区間は、高速道路のボトルネックとなっており、北陸自動車道や名神高速道路を利用する広域幹線利用者と、名古屋市を中心とする圏域内利用者が混在して渋滞が発生。また、一宮市内の国道22号は、この渋滞に起因する交通死傷事故が愛知県平均の約1・8倍に達する課題も抱えている。
 この現状を踏まえた政策目標は、▽都市間の物流・人流アクセス性向上、産業活性化支援▽交通の円滑化▽交通安全の確保―の3点。配慮すべきポイントは、生活環境・自然環境への影響が少ないこと、工事中の現道交通への影響が少ないことなどとした。
 これらに基づき、地域住民や道路利用者などへのアンケートと、地方公共団体や関係団体などへのヒアリングを実施したところ、8割以上が▽定時制の確保(移動時間が読め、信頼性が高い)▽渋滞の改善(速達性が高く、渋滞が少ない)▽交通事故が少ない―などの項目を重視するというという結果が出た。この結果を踏まえ、今回の委員会では、「専用部整備案」を対応方針とすることを決めた。

【全線立体構造で整備 一宮・一宮木曽川ICのJCT化も検討】
 対応方針となった専用部整備案は、名古屋高速一宮中IC〜東海北陸自動車道一宮木曽川IC間を全て立体構造で整備。さらに、国道22号への流入交通量が多い両郷町交差点付近にインターチェンジを設置する。また、高速道路へのアクセス機能を最大限高めるため、一部で相互利用ができない一宮ICや、新たに交差する一宮木曽川ICのジャンクション化も検討するとした。同案の建設に要する費用は、概算で約1600億〜1960億円と試算している。
 同案の決定に際して、委員は「工事中の現道交通への影響を少なくする」ように、中部地方整備局にあらためて要請。これに対して、中部地方整備局は「最大限、現道の交通量を維持する」と回答している。また、「地域の産業活性化につながるため、(事業採択後に)開通時期が想定できた段階で、速やかに公表してほしい」との要望も出され、地域経済や産業の活性化に対する期待感をうかがわせた。

提供:建通新聞社