学識経験者や行政関係者による第2回水防対策検討会(座長・松見吉晴鳥取大学学長顧問)は2日、全国各地に被害が広がった台風19号を受けて、県が短期間に効果の見込める具体案としてまとめた堤防強化対策工などを了承した。県は対策工の一部を新年度当初予算に要求する。
堤防強化対策は、重要水防区域や本支川合流部のバックウォーター区間を優先。天端をアスファルトで保護し、堤内側の法肩は防草シートを施工する。さらに水防体制についても、建設業協会と連携して越水が予想されるカ所に土のうを設置する。これら対策は、河道掘削や樹木伐採と組み合わせ実施することで実効性を持たせる。
また、河川情報基盤(監視カメラ、水位計、量水標)の増設や停電対策、浸水対策などを確認した。
検討会では「重要水防区域以外も点検して整備区間を抽出すべき」「河川情報をいかに住民避難につなげるかが大切」「堤防決壊の阻止といった目標に無理がある。決壊はないと住民が安心すれば、逃げ遅れてしまう」といった指摘があった。
今後、県は大路川など県下の対策カ所をまとめて当初予算案に盛り込む。また、中長期の課題でも国の動向を注視して年度末までに対策を検討する。
県河川委員長で岡山大学大学院の前野詩朗教授は、西日本豪雨や台風19号を踏まえた現地調査の結果を報告。「河川の氾濫危険水位を勢いよく突破すれば、何かが起きると考えていい」と警鐘を鳴らした。
日刊建設工業新聞