神奈川県流域下水道の経営戦略策定に向けた有識者会議(懇話会)は12月3日、横浜市内で初会合を開いた=写真。経営、会計、計画、維持管理などについて意見を聴取し、中長期的な経営の基本計画となる経営戦略の策定・見直し、フォローアップに反映させるのが目的。2020年10月ごろのパブリックコメントなどを経て、同年12月に経営戦略の最終案を検討することになる。
初会合であいさつした佐藤亮一県県土整備局河川下水道部長は、使用料収入の減少、施設更新費用の増大、自然災害リスクの高まりなどを課題とした上で、「下水道事業を将来にわたって安定的に継続していけるよう、さまざまな意見をいただき、今後10年間を見通した経営戦略を作りたい」との考えを示した。
その後、横浜市立大学の宇野二朗教授を懇話会会長に選出。事務局(河川下水道部下水道課)が流域下水道事業の現状などを説明した。また、今後の検討スケジュールとして、20年の3月、7月、12月にそれぞれ会議を開催することとした。
神奈川県の流域下水道のうち相模川(流域関連市町9市3町)は1969年度に事業着手。幹線管渠の計画127・8`中、126・3`が整備済み。左岸(茅ケ崎市柳島、計画日最大処理能力53・9万立方b)、右岸(平塚市四ノ宮、同39・4万立方b)の両処理場の整備は整備が完了しつつある。
一方、酒匂川(流域関連市町3市7町)は73年度の事業着手後、幹線管渠計画55・5`のうち46・3`の整備が完了している。処理場は左岸(小田原市西酒匂)で計画日最大処理能力14・4万立方bのうち10・8万立方b、右岸(小田原市扇島)で8・5万立方bのうち5・6万立方bが整備済みの状況にある。
いずれの流域も処理開始から長い年月が経過して施設の老朽化が進行しているため、改築更新需要が増加している。維持管理費用も増加傾向にある。さらに、処理場の耐震化率が相模川で62%、酒匂川で53%にとどまるなど、災害対策の強化が求められている。
経営戦略は、こうした課題を踏まえた中長期的な経営の基本計画とする。「投資・財政計画(収支計画)」と、広域化や官民連携、組織効率化といった「効率化・経営健全化の取組方針」で構成するイメージ。今後10年間の収支見通しと取り組むべき施策を示すことになる。
提供:建通新聞社