斜面防災対策技術協会富山支部(田中洋一郎支部長)と富山県測量設計業協会(榮知之会長)は11月29日、県庁に石井隆一知事を訪ね、予算増額や受注機会拡大などを求める要望活動を行った。
この日は、斜面協会から田中支部長、津嶋春秋理事(県地質調査業協会長)、松島一敏理事、県測協から榮会長、市森友明・金木春男副会長、協会顧問の坂田光文県参与、中川忠昭県議会議長らが参加。県側は石井知事、水口功土木部長、河村幹治農林水産部長らが出席した。
田中支部長は協会活動への協力について感謝を表し、事務局が要望4項目を説明。榮会長は、長野県千曲川への災害支援で会員16社から技術者を派遣したことに触れ、「台風は大型化しており、いつ富山に被害をもたらすか分からない。災害復旧業務の対応力を強化するため、多くの会員に派遣に応じてもらった。県民の暮らしの安心・安全を守ることを使命としており、健全な経営が必要不可欠であり、県内企業の受注量の確保をお願いしたい」と述べた。
石井知事はまず、斜面協会の要望に回答。「国の国土強靱化緊急対策は、3カ年では必要な事業量が確保できないので、5〜10年で対策を進めてもらいたい。災害が起こらないように、あらかじめ手を打つことが大事。地質調査業務の発注額は大きく伸びており、引き続き予算確保に努めていく」とし、業界と連携して国へ働きかけていく考えを示した。
地すべり防止施設については、「マニュアルをつくり、6月に長寿命化計画を策定した。今後は計画に基づいて、施設の修繕や更新、点検を進めていく」と応じた。「立山・黒部」世界文化遺産登録に向けた取り組みでは、「18年10月に開かれたインタープリベントにおいて、立山砂防の素晴らしさをPRし、人類共通の遺産であるとの富山宣言を採択した。登録へのハードルは高いが、引き続き協力をお願いしたい」と述べた。
一方、県測協は、地域企業活性化に資する受注機会の拡大を求めた。石井知事は、県外企業のみの指名案件の割合が17年度14・7%、18年度10・6%、19年度(9月末現在)10%と改善傾向にあることを指摘し、「できるだけ地元の企業に発注したい。さらに技術力を高めてもらうことで、県外企業の発注分が減っていく」と答えた。