横浜市港湾局は9月の台風15号で被災した金沢区・福浦地区の護岸約1・1`を「直立消波ブロックタイプ」の断面で復旧する方針だ。11月26日に開かれた有識者らの検討会(委員長・鈴木崇之横浜国立大学大学院准教授)に示したもので、既設護岸の前面に直立消波ブロックと新たなパラペットを設けるとともに、既設護岸のパラペットにも嵩上げを施すなどして越波を防ぐ。中野裕也港湾局長は「来年の台風、今考えられる最大級の高波・高潮を乗り切ることが市に与えられている必須の使命だ」と早期復旧への決意を表明した。第4回市会定例会(12月6〜19日)に付議する補正予算案に復旧経費が盛り込まれる見通し。
台風15号では金沢区の福浦地区と幸浦地区の護岸が波浪で損壊し、背後の産業団地が浸水するなどの被害が発生した。このため国土交通省と市は10月、東京湾の高波対策や横浜港の護岸の復旧工法をそれぞれ考える有識者らの会議を設置。このうち高波対策の検討委員会(委員長・高山知司京都大学名誉教授)は前日11月25日の会合で、東京湾の今後の護岸構造を「伊勢湾台風級の潮位+50年確率波」(従来)と「台風15号の潮位+波浪」(新たに追加)のいずれか厳しい方で検討する考え方を整理した。
これを受け市は26日の検討会で、被害が大きい福浦地区の護岸約1・1`の復旧を巡って▽護岸嵩上げタイプ▽消波ブロック被覆タイプ▽直立消波ブロックタイプ―の3断面案を提示。護岸嵩上げタイプは既設護岸の本体ケーソンの部材補強や地盤改良が難しく、消波ブロック被覆タイプは断面が大きくコストもかかることなどから、直立消波ブロックタイプが最も優れているとした。
復旧に当たっては高潮対策の検討委で整理された考え方などを基に、既設護岸で4・5bのパラペット天端高(江戸川工事基準面からの高さ)を7・5bに引き上げる。併せて▽護岸目地開きからの浸食や吸出しを防ぐ目地板▽越波に備えた護岸背後の水叩きや排水施設▽防潮堤機能を備える胸壁―なども設置・整備する。
さらに福浦地区での検討を踏まえ、本牧など他の地区の復旧対応も検討するとしている。
提供:建通新聞社